夏休み、先生は学校の外で研修できる?公立学校の教員の「22条2項の研修」を条文で確かめる

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公開 2026年9月30日

夏休みに入った職員室。
子どもたちの声がしない校舎で、予定表を眺めている先生がいます。
来週、県外で開かれる研究会に行ってみたい。
図書館にこもって、2学期の単元をじっくり組み直したい。

でも、そのために年休を使うしかないのだろうか。
「研修で出たい」と校長に言っていいものなのか。
誰かに聞こうにも、周りの先生も案外よく分かっていません。

先に答えを言うと、公立学校の先生は、授業に支障がなければ、校長の承認を受けて学校の外で研修ができます。
法律にそう書いてあります(教育公務員特例法22条2項)。
ただ、その研修が職場でどう扱われるか、何を出せばいいかは、条文には書かれていません。
この記事では、法律で決まっていることと、職場で確かめることを分けて整理します。

※本サイトでいう「公務員」には、独立行政法人・国立大学法人・日本銀行・日本年金機構等の職員(いわゆる準公務員)も含みます。
副業・兼業規定が国家公務員法・地方公務員法に準拠、または類似している職種を主な対象としています。

⚠️ 先にお断りしておきます

この記事は、公立学校の先生(教育公務員特例法の「教員」)のための記事です。
国立大学の附属学校や私立学校の先生には、この法律は当てはまりません。
同じ公立学校でも、学校事務の職員は「教員」に入らないので、22条2項の研修は使えません。
手続きの細かい決まりは、教育委員会ごとに違います。

この記事の結論

📌 結論を先に

  • 先生には、研修を受ける機会が与えられなければならない(教育公務員特例法22条1項)
  • 授業に支障がなければ、校長などの承認を受けて学校の外で研修できる(同22条2項)
  • 条件は「授業に支障がないこと」と「承認」の2つ。長期休業中は1つ目を満たしやすい
  • 勤務扱いになるか、何を出すか、自宅でよいかは条文に無い。教育委員会の決まりで確かめる
  • 現職のまま長期の研修を受けられる道もある(同22条3項)
  • 受けた研修は記録に残り、学び方の相談にも乗ってもらえる(同22条の5・22条の6)
  • 事務職員など先生以外の公務員は、地方公務員法39条の研修の機会で考える

先生は「学び続けなさい」と言われ、同時に「学ぶ機会」を約束されている

教員の研修の話は、ふつう「やらされるもの」として語られがちです。
初任者研修、中堅の研修、教育委員会から届く研修の案内。
忙しい時期に重なって、ついため息が出る。
そんな人も少なくないはずです。

でも法律の書き方を見ると、少し印象が変わります。
まず、先生は仕事を果たすために、絶えず研究と修養に努めなければなりません(教育公務員特例法21条1項)。
ここは義務の側です。

そのすぐ後に、こう続きます。
教育公務員には、研修を受ける機会が与えられなければならない(同22条1項)。
学ぶ側に努力を求めるだけでなく、学ぶ機会を用意する義務を、雇う側にも負わせているのです。

しかも、ほかの地方公務員にはない決まりが、この後に2つ置かれています。
学校の外で研修できる決まりと、現職のまま長く研修できる決まりです。
先生の仕事は学び続けることと切り離せない、という考え方が、条文の並びから伝わってきます。

夏休み、学校の外で研修できる?

冒頭の場面の答えです。
条文はこう書いています。
教員は、授業に支障のない限り、本属長の承認を受けて、勤務場所を離れて研修を行うことができる(教育公務員特例法22条2項)。

かみ砕くと、条件は2つだけです。

条件中身読み方のポイント
授業に支障がないこと授業を空けたり、代わりを立てたりしなくて済む夏休み・冬休みなど、授業の無い期間は満たしやすい
本属長の承認所属の長が認めること学校なら、ふつうは校長

「勤務場所を離れて」とあるので、研修の場所は学校の外です。
研究会の会場、大学の講座、図書館などが考えられます。

対象は「教員」です。
法律でいう教員には、副校長・教頭・主幹教諭・主務教諭・指導教諭・教諭・養護教諭・栄養教諭・講師などが入ります(同2条2項)。
意外なことに、校長はこの「教員」に入っていません。

ここまで読んで、「なんだ、それなら夏休みは自由に出られるのか」と思った人もいるかもしれません。
そう簡単ではないのが、次の話です。

条文に書いていないことが、いちばん知りたいこと

この決まりは、たった1文です。
そのため、現場の先生がいちばん気にすることが、条文からは読み取れません。

知りたいこと条文に書いてあるか確かめる先
研修の日は勤務の扱いになるのか書いていない教育委員会の決まり・校長
どんな書類を、いつまでに出すのか書いていない学校の服務の手引き・教頭
自宅での教材研究も研修になるのか書いていない教育委員会の決まり・校長
終わったあとに報告書が要るのか書いていない学校の服務の手引き・教頭
授業が無ければ必ず承認されるのか書いていない(承認は校長の判断)校長

正直に言うと、ここは条文が不親切だと思います。
先生にとっていちばん大事なのは「出ていいか」より「出た日がどう扱われるか」なのに、そこは運用に任されているからです。
「研修のつもりで出たのに、あとで年休の扱いだと言われたらどうしよう」と不安になるのは、当然のことです。

公務員には、勤務時間中は仕事に専念する義務があります(地方公務員法35条)。
ただしこの義務には「法律や条例に特別の決まりがある場合を除く」と書かれています。
学校の外での研修がこの枠の中でどう位置づけられているかは、教育委員会が定める扱いで決まります。
ここを人づてのうわさで判断せず、服務の手引きで一度確かめておくのが安全です。

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研修には、自分から出るものと、受けることになっているものがある

先生の研修は、22条2項のように自分から申し出るものだけではありません。
法律で「実施しなければならない」と決まっている研修もあります。
並べると、自分がいまどこにいるのかが見えてきます。

研修中身根拠
学校の外での研修授業に支障がなければ、校長などの承認で学校の外で研修する22条2項
長期にわたる研修任命権者の決まりにしたがって、現職のまま長期の研修を受ける22条3項
初任者研修採用の日から1年間の実践的な研修。指導教員がつく23条
中堅教諭等資質向上研修経験を積んだ中堅の先生の、中核的な役割に向けた研修24条
指導改善研修指導が不適切と認定された先生の研修。1年以内、延ばしても始めてから2年まで25条
大学院修学休業専修免許状を取るため、3年以内で大学院などに在学する休業26条

初任者研修は、採用されたばかりの先生に1年間行う研修です(教育公務員特例法23条1項)。
臨時的に任用された人などは対象から外れます。

長期にわたる研修(同22条3項)は、「現職のままで」受けられるところが大事です。
身分を持ったまま、長い期間学べる道が法律に書かれています。
ただ、中身は任命権者の決まりにしたがうので、募集の有無や条件は教育委員会ごとに違います。

表を見て、「自分は受け身の研修ばかりだった」と感じた人もいると思います。
それで普通です。
自分から出る研修は、誰かが声をかけてくれるものではありません。
だからこそ、この記事で知っておいてほしいのです。

受けた研修は記録に残り、学び方の相談もできる

どの研修に出ればいいのか、自分で選ぶのは意外と迷うものです。
最近の法律には、そこを支える決まりも入っています。

まず、任命権者は先生ごとに、研修を受けた状況などの記録を作らなければなりません(教育公務員特例法22条の5第1項)。
記録に載るのは、教育委員会などが行う研修、大学院修学休業で履修した課程、任命権者が開いた認定講習などです。
そのほか、任命権者が必要と認めた学びの取り組みも載ります。

次に、指導助言者は先生からの相談に応じて、研修や講習の情報を伝えたり、助言したりすることになっています(同22条の6第1項)。
指導助言者は、多くの小中学校の先生なら市町村の教育委員会です。

「そもそも、自分は何を伸ばせばいいのか」と迷ったら、手がかりがあります。
任命権者は先生に求める力を「指標」として定め、研修を行う側は毎年度、研修の計画を定めます(同22条の3・22条の4)。
自分の自治体の指標や研修計画は、公表に努めることになっているので、教育委員会のホームページで探してみる価値があります。

「記録される」と聞くと、見張られているようで身構えてしまう人もいるはずです。
でも見方を変えれば、自分がどれだけ学んできたかが残る、ということでもあります。
次にどんな研修を選ぶか相談するとき、その記録が話の土台になります。

校長にどう切り出すか

決まりが分かっても、校長室のドアをノックするのは少し気が重いものです。
「遊びに行くと思われないか」と心配する人もいるはずです。
伝えることを3つに絞ると、話が早くなります。

  1. いつ、どこで、何を学ぶか(例:8月6日、県の教育センターの研究会で、算数の授業づくり)
  2. 授業に支障がないこと(例:夏季休業中で、当日の校務は教頭先生に確認済み)
  3. 学んだことをどう持ち帰るか(例:2学期の校内研修で共有します)

3つ目があると、校長も承認しやすくなります。
研修の成果が学校に返ってくる、という話になるからです。

書類の形式が分からなければ、先に教頭に「22条2項の研修を出したいのですが、様式はありますか」と聞くのが近道です。
条文の番号を1つ言えるだけで、話がずっと通りやすくなります。

先生以外の公務員は?

ここまでの話は、公立学校の教員だけの決まりです。
学校事務の職員や、市役所・県庁の職員、警察官や消防職員には、学校の外で研修できる決まりは当てはまりません。

がっかりした人もいるかもしれません。
でも、地方公務員全体にも、研修を受ける機会が与えられなければならない、という決まりがあります(地方公務員法39条1項)。
研修を行うのは任命権者です(同条2項)。
学びたい研修があるなら、まずは人事担当に、職場の研修の仕組みを聞いてみてください。

市町村立の小中学校の先生(県費負担教職員)は、県の教育委員会だけでなく、市町村の教育委員会も研修を行えます(地方教育行政の組織及び運営に関する法律45条1項)。
研修を行う側が、県と市町村の2つあるということです。

研修を申し出る前にやること

順番に並べておきます。
全部を今日やる必要はありません。
まずは1つ目だけ、今週のうちに確かめてみてください。

  1. 自分が教育公務員特例法の「教員」に当たるかを確かめる(公立学校の先生か、職名は何か)
  2. 学校の服務の手引きで、22条2項の研修の扱いと様式を確かめる
  3. 行きたい研究会や講座の日程を決め、授業に支障がないことを確かめる
  4. 校長に「いつ・どこで・何を学ぶか」「授業に支障がないこと」「どう持ち帰るか」を伝える
  5. 自治体の教員の指標と研修計画を、教育委員会のホームページで見ておく
  6. 長く学びたくなったら、長期研修や大学院修学休業の募集を確かめる

夏休みの研修メモ

分かるところだけで十分です。空いた欄は、教頭や校長に聞くことのリストになります。

自分の職名と、教育公務員特例法の「教員」に当たるか

学びたいこと・行きたい研究会や講座

日程と、その日に授業や校務の支障がないか

22条2項の研修の扱い(勤務扱いか・様式・報告書)

校長に伝える「どう持ち帰るか」

長期研修・大学院修学休業の募集の有無

教頭や校長に聞くこと

このページを印刷すると、この1枚だけが出ます。ブラウザの印刷からPDFとして保存することもできます。

❓ よくある質問

Q. 夏休みに、学校の外で研修をしてもいいですか。

A. 公立学校の教員は、授業に支障がない限り、本属長(学校ならふつうは校長)の承認を受けて、学校の外で研修できます(教育公務員特例法22条2項)。

Q. 研修で出た日は、年休を使わなくていいのですか。

A. 条文は、承認を受ければ学校の外で研修できることまでしか書いていません。
勤務の扱いや手続きは教育委員会ごとの決まりなので、学校の服務の手引きや教頭に確かめてください。

Q. 自宅での教材研究も研修になりますか。

A. 条文には書かれていません。
認められるか、どんな条件があるかは、教育委員会の決まりと校長の判断によります。

Q. 授業が無い日なら、必ず承認されますか。

A. 授業に支障がないことは条件の1つですが、承認するかは本属長の判断です(教育公務員特例法22条2項)。
目的と、学んだことをどう持ち帰るかを伝えると話が進みやすくなります。

Q. 学校事務の職員も22条2項の研修を使えますか。

A. 使えません。
22条2項の対象は「教員」で、事務職員は入っていません(教育公務員特例法2条2項)。
地方公務員全体の研修の機会は、地方公務員法39条で考えます。

Q. 長く学びたいときの制度はありますか。

A. 現職のまま長期にわたる研修を受ける道があります(教育公務員特例法22条3項)。
専修免許状を取るための大学院修学休業(同26条)もあります。
募集や条件は任命権者の決まりで確かめてください。

Q. 受けた研修は、どこかに記録されますか。

A. 任命権者は、先生ごとに研修の受講などの記録を作らなければなりません(教育公務員特例法22条の5)。

Q. この記事は、いつの時点の情報ですか。

A. 2026年9月30日に、e-Gov 法令検索で法律の条文を確かめた内容です。
使った3つの法律に、まだ施行されていない改正が無いことも確かめています。

まとめ

  1. 先生には、研修を受ける機会が法律で約束されている
  2. 授業に支障がなければ、校長などの承認で学校の外で研修できる
  3. 勤務の扱いや様式は条文に無い。服務の手引きで確かめる
  4. 校長には「いつ・どこで・何を」「支障がないこと」「どう持ち帰るか」を伝える
  5. 長く学びたいなら、長期研修や大学院修学休業もある
  6. 先生以外の公務員は、地方公務員法39条の研修の機会で考える

✏️ 筆者から一言

私は、学びは行動しながらするものだと考えています。
机の前で完璧に準備してから動くより、まず一歩出て、やってみて、失敗したら修正する。
そのほうが、身につくものはずっと多いはずです。
夏休みの研究会に1日出てみることも、服務の手引きを開いて扱いを確かめることも、立派な行動です。
今年の夏が過ぎていたら、冬休みの予定表に、学びたいことを1つ書き込んでみてください。

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最終確認 2026年9月30日。
法令・制度の記述は、年に1度と制度改正のときに見直しています。

この記事を書いた人

公務員UPDATE 運営者。元公務員(警察官)。交番勤務・自動車警ら係・刑事・生活安全を経験し、現在は独立して事業を営んでいます。記事では、在職中の経験か退職後の経験かを必ず区別して書いています。

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