公開 2026年10月1日
出生届を出した帰り道。
職場の庶務担当から、短いメールが届いています。
「扶養親族届を出してください。」
出すのは分かった。
でも、月にいくら増えるのか。
妻の分はもう出ないと聞いたけれど、本当なのか。
共働きなら、夫婦のどちらが受け取るのか。
いつまでに出せばいいのかも、はっきりしません。
先に答えを言うと、国家公務員の扶養手当は、子ども1人につき月1万3千円です(給与法11条3項)。
配偶者の分は、2026年4月から出なくなりました。
そして、届出は事実が生じてから15日以内に出すのが大事です。
遅れると、そのぶん受け取りの始まりが後ろにずれます。
この記事では、金額・対象になる家族・締め切りの3つを、条文で順に確かめます。
※本サイトでいう「公務員」には、独立行政法人・国立大学法人・日本銀行・日本年金機構等の職員(いわゆる準公務員)も含みます。
副業・兼業規定が国家公務員法・地方公務員法に準拠、または類似している職種を主な対象としています。
⚠️ 先にお断りしておきます
この記事の金額は、一般職の国家公務員のものです。
地方公務員の扶養手当は、自治体の条例で決まります。
国と同じ額とは限らないので、自分の自治体の給与条例で確かめてください。
自衛官は、一般職の国家公務員の例により支給されます。
この記事の結論
📌 結論を先に
- 扶養手当は、子ども1人につき月1万3千円(給与法11条3項)
- 15歳になった後の4月から22歳の年度末までの子は、1人5千円を上乗せ(同11条4項)
- 60歳以上の父母・祖父母などは1人6,500円。ただし上の職務の級では減るか、出ない(同11条1項・3項)
- 配偶者の分は2026年4月から無い。2025年度の1年間は月3千円だった
- 家族に年130万円以上の収入の見込みがあると、対象にならない(人事院規則9―80第2条)
- 共働きで、相手の勤め先から同じ子の手当が出ているなら、こちらでは受けられない(同2条)
- 届出が15日を過ぎると、受け取りの始まりが後ろにずれる(同5条)
扶養手当は、出すまで1円も出ない
最初に知っておいてほしいのは、扶養手当は自動では始まらない、ということです。
子どもが生まれても、職場が出生届を見て勝手に手当をつけてくれるわけではありません。
流れは3段階です。
まず、あなたが扶養親族届を出す(人事院規則9―80第3条)。
次に、職場がその中身と手当の額を認定する(同4条)。
そこでようやく、給与明細に「扶養手当」の行が現れます。
最初の一歩は、いつも自分の側にあるということです。
認定のために、職場から証明書類を求められることがあります(同4条3項)。
出生を証明する書類や、家族の収入が分かる書類などです。
何が要るかは職場ごとに違うので、庶務担当に一度聞いておくと二度手間を防げます。
子どもが生まれた直後は、役所の手続きや病院の支払いで頭がいっぱいのはずです。
職場への届出は後回しになりがちですが、ここだけは早めに片づけてください。
理由は、この記事の後半で説明する「15日」にあります。
誰が「扶養親族」になる?
「うちの家族は、どこまで入るんだろう」。
届出の用紙を前に、まずここで迷う人が多いはずです。
対象になるのは、ほかに生活の手段がなく、主にあなたの稼ぎで暮らしている家族です(給与法11条2項)。
そのうえで、次の5つのどれかに当たる人です。
| 家族 | 年齢などの条件 |
|---|---|
| 子 | 22歳になった後の最初の3月31日まで |
| 孫 | 22歳になった後の最初の3月31日まで |
| 父母・祖父母 | 60歳以上 |
| 弟・妹 | 22歳になった後の最初の3月31日まで |
| 重度心身障害者 | 年齢の条件なし |
「22歳になった後の最初の3月31日」は、ざっくり言えば大学を卒業する年度の終わりです。
子どもが就職して独り立ちするころまで、手当が続くように作られています。
この表に、配偶者は入っていません。
ここが2026年4月からの大きな変化です。
詳しくは、少し後の見出しで説明します。
月にいくら?子ども2人、親1人なら
金額は、家族の種類で決まります(給与法11条3項・4項)。
| 家族 | 月額 | 補足 |
|---|---|---|
| 子 | 1人13,000円 | 職務の級に関係なく同じ |
| 15歳になった後の4月から22歳の年度末までの子 | 上の額に1人5,000円を上乗せ | 高校・大学のころ。1人18,000円になる |
| 父母・祖父母・孫・弟妹・重度心身障害者 | 1人6,500円 | 行政職俸給表(一)の8級に当たる職員は3,500円 |
| 同上 | 支給されない | 行政職俸給表(一)の9級以上に当たる職員 |
たとえば、小学生の子が1人、高校生の子が1人いる場合。
小学生の子が13,000円、高校生の子が13,000円に5,000円を足して18,000円。
合わせて月31,000円です。
ここに、仕送りで暮らしている65歳の母が加わると、6,500円が足されて月37,500円になります。
ただし、母に年130万円以上の年金などの収入の見込みがあると、対象から外れます。
この収入の線は、次の次の見出しで扱います。
年に12か月と考えると、決して小さくない額です。
しかも扶養手当は、ボーナスの計算のもとになる額にも入っています(給与法19条の4第4項)。
届出が遅れて手当の始まりがずれると、ボーナスの側にも響きうる、ということです。
🔗 あわせて読みたい
扶養手当がボーナスの計算にも入ると知って、「そもそもボーナスはどの日の状態で決まるのか」が気になった人は、基準日の記事が役に立ちます。
→「公務員のボーナスは退職日で変わる?期末手当・勤勉手当の「基準日」を条文で確かめる」
配偶者の分は、2026年4月から出なくなった
「妻の分の手当がなくなった」という話を、職場で耳にした人もいると思います。
条文で確かめると、そのとおりです。
いまの給与法の扶養親族の一覧に、配偶者はありません(給与法11条2項)。
その前の1年間、2025年4月から2026年3月までは、経過措置として配偶者も扶養親族に入っていました。
そのときの額は、配偶者が月3,000円、子が月11,500円です(令和6年法律72号の附則)。
| 期間 | 配偶者 | 子 |
|---|---|---|
| 2025年4月〜2026年3月 | 月3,000円(8級以上に当たる職員は出ない) | 1人11,500円 |
| 2026年4月から | なし | 1人13,000円 |
配偶者の分は消え、そのぶん子の分が上がった、という形です。
子どもがいない夫婦では、手当がまるごと無くなった人もいるはずです。
明細を見比べて、がっかりした人もいると思います。
私は、この変更そのものより、職場で説明がほとんど無いまま明細の数字だけが変わることのほうが問題だと思っています。
理由が分からない減り方は、額以上に不安を生むからです。
少なくとも「法律が変わった結果で、あなたの届出の不備ではない」とだけは、知っておいてください。
家族に収入があると、対象から外れることがある
「主にその職員の稼ぎで暮らしている」かどうかには、はっきりした線があります。
年130万円以上の恒常的な収入があると見込まれる人は、扶養親族に入りません(人事院規則9―80第2条2号)。
18歳になった後の4月から22歳の年度末までの人は、この線が年150万円に上がります(同号)。
大学生の子がアルバイトをしている家庭では、ここが目安になります。
もう1つの線が、共働きの場合です。
配偶者や兄弟姉妹などが、同じ家族について扶養手当や、民間の会社の同じような手当を受けていると、こちらでは扶養親族になりません(同2条1号)。
同じ子どもに、夫婦の両方から手当をつけることはできない、ということです。
相手の勤め先の制度によっては、どちらで受けるほうが得かが変わります。
夫婦で明細や就業規則を持ち寄って、一度話してみる価値があります。
面倒に感じるかもしれませんが、話すのは一度きりで済みます。
そして、収入の見込みが変わったときも届出が必要です(同3条1項)。
子どものアルバイトが増えた、親が年金を受け取り始めた。
そんなときは、手当が減る方向の変化でも、早めに職場へ伝えてください。
あとから返すことになるほうが、ずっと気が重いはずです。
締め切りは「15日」。過ぎると1か月分がずれる
ここがこの記事でいちばん伝えたいところです。
扶養手当は、要件を満たした日の翌月から出ます(人事院規則9―80第5条1項)。
その日が月の1日なら、その月からです。
ところが、届出が事実の生じた日から15日を過ぎてから出されると、話が変わります。
手当が始まるのは、届出を受け取った日の翌月からになります(同項)。
| 例(5月10日に子が生まれた) | 手当が始まる月 |
|---|---|
| 5月20日に届出を出した | 6月分から |
| 6月2日に届出を出した(15日を過ぎた) | 7月分から。6月分は出ない |
たった数日の遅れで、1か月分がまるごと出なくなることがあります。
さかのぼって払ってもらえる決まりは、条文にはありません。
2人目の子が生まれたときなど、すでに受けている手当が増える方向の変更も同じ扱いです(同5条2項)。
正直なところ、この15日の決まりは、生まれたばかりの子を抱えた親にはきつい締め切りだと思います。
だからこそ、出生届と同じ日に職場へ一報を入れるくらいでちょうどいいのです。
地方公務員と自衛官は?
地方公務員の扶養手当は、自治体が条例で決めます(地方自治法204条2項・3項)。
多くの自治体は国の仕組みを参考にしていますが、額や見直しの時期が国と同じとは限りません。
配偶者の分がいつまで出るかも、自治体ごとに確かめる必要があります。
給与条例か、職員向けの給与の手引きで確かめてください。
自衛官には、一般職の国家公務員の例により扶養手当が支給されます(防衛省の職員の給与等に関する法律12条)。
金額の考え方は、この記事の国家公務員の内容と同じです。
人事院規則で決めることになっている部分は、政令で定めることになっています(同条)。
警察官は、ほとんどが都道府県の職員なので、地方公務員の側で確かめます。
公立学校の先生も、給与を出す県や市の条例で確かめることになります。
ネットで見つけた「公務員の扶養手当」の金額が自分に当てはまるとは限らない。
それだけ覚えておけば、明細を見て慌てることはありません。
届出を出す前にやること
順番に並べておきます。
子どもが生まれたばかりなら、1つ目と2つ目だけを今日のうちに済ませてください。
- 事実が生じた日(出生・同居・仕送りの開始など)を書き留める。15日の起点になる
- 庶務担当に一報を入れ、扶養親族届の様式と添付書類を聞く
- 共働きなら、相手の勤め先で同じ家族の手当を受けていないか確かめる
- 父母などを入れるなら、年130万円以上の収入の見込みが無いか確かめる
- 地方公務員なら、給与条例で自分の自治体の額を確かめる
- 翌月か翌々月の給与明細で、扶養手当の行が増えているかを見る
扶養手当の確認メモ
分かるところだけで十分です。空いた欄は、庶務担当に聞くことのリストになります。
手当の対象になりそうな家族(続柄・年齢)
事実が生じた日と、15日目の日付
家族それぞれの年収の見込み(130万円・150万円の線)
共働きの相手の勤め先で、同じ家族の手当を受けているか
自分の給与の決まり(国・自治体の条例・自衛官)
見込みの月額と、明細で確かめる月
庶務担当に聞くこと(様式・添付書類)
このページを印刷すると、この1枚だけが出ます。ブラウザの印刷からPDFとして保存することもできます。
❓ よくある質問
Q. 子どもが生まれたら、扶養手当は月いくらですか。
A. 一般職の国家公務員なら、子1人につき月13,000円です(給与法11条3項)。
15歳になった後の4月から22歳の年度末までの子は、1人5,000円が上乗せされます(同11条4項)。
Q. 配偶者の扶養手当は、もう出ないのですか。
A. 一般職の国家公務員では、2026年4月から扶養親族の一覧に配偶者が入っていません(給与法11条2項)。
2025年4月から2026年3月までは、経過措置として月3,000円でした。
地方公務員は条例によるので、自治体ごとに確かめてください。
Q. 届出が遅れたら、さかのぼってもらえますか。
A. 事実が生じた日から15日を過ぎて届け出ると、届出を受け取った日の翌月からの支給になります(人事院規則9―80第5条1項)。
さかのぼる決まりは条文にありません。
Q. 共働きの場合、夫婦の両方で受け取れますか。
A. 受け取れません。
相手が同じ家族について扶養手当や、民間の会社の同じような手当を受けていると、こちらの扶養親族にはなりません(人事院規則9―80第2条1号)。
Q. 親に年金収入がありますが、扶養親族にできますか。
A. 60歳以上の父母は対象になりえますが、年130万円以上の恒常的な収入の見込みがあると入りません(人事院規則9―80第2条2号)。
主にあなたの稼ぎで暮らしていることも条件です(給与法11条2項)。
Q. 管理職になると、扶養手当は変わりますか。
A. 子の分は変わりません。
父母などの分は、行政職俸給表(一)の8級に当たる職員は1人3,500円、9級以上に当たる職員には出ません(給与法11条1項・3項)。
Q. 扶養手当はボーナスにも関係しますか。
A. 期末手当の計算のもとになる額に、扶養手当の月額が入ります(給与法19条の4第4項)。
Q. この記事は、いつの時点の情報ですか。
A. 2026年10月1日に、e-Gov 法令検索で法律と人事院規則の条文を確かめた内容です。
給与法と人事院規則9―80に、まだ施行されていない改正が無いことも確かめています。
まとめ
- 扶養手当は届け出て、認定されて初めて出る
- 子1人月13,000円。高校・大学の年ごろは5,000円の上乗せ
- 配偶者の分は2026年4月から無い
- 家族に年130万円以上の収入の見込みがあると対象外。共働きはどちらか一方
- 届出は15日以内。過ぎると始まりが後ろにずれる
- 地方公務員は条例で、自衛官は国家公務員の例で確かめる
✏️ 筆者から一言
私にも家族がいて、転職を考えたとき、いまの給与の水準を落とす判断がどうしてもできませんでした。
家族がいると、給与明細の1行1行が、そのまま生活の形になります。
扶養手当の1万3千円も、読む人によってはおむつ代であり、塾の月謝であり、実家への仕送りの足しです。
制度の変更は選べませんが、届出の日付は自分で選べます。
今日、庶務担当に一通だけメールを送ってみてください。
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📚 この記事で参照した一次情報
最終確認 2026年10月1日。
法令・制度の記述は、年に1度と制度改正のときに見直しています。

