病気で長く休んだら、公務員の給料はどうなる?「病気休暇」と「休職」の給与を条文で確かめる

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公開 2026年9月17日

病院で診断書を渡された。
「3か月の自宅療養を要する」。
帰り道、頭の中はお金のことでいっぱいになります。

来月の給料は出るのか。
3か月で治らなかったらどうなるのか。
住宅ローンや子どもの学費は払っていけるのか。

公務員が病気やけがで長く休むとき、給料は段階を追って変わっていきます。
最初は「病気休暇」で満額、長引けば「休職」で8割、さらに長引けば給料は止まり、共済の手当金に切り替わります。
この記事では、その流れを時期ごとに、条文で確かめていきます。

※本サイトでいう「公務員」には、独立行政法人・国立大学法人・日本銀行・日本年金機構等の職員(いわゆる準公務員)も含みます。
副業・兼業規定が国家公務員法・地方公務員法に準拠、または類似している職種を主な対象としています。

⚠️ 先にお断りしておきます

ここで扱うのは、主に常勤の国家公務員(一般職)の、仕事とは関係のない病気やけがのルールです。
地方公務員は条例で決まり、自治体ごとに中身が違うことがあります。
自衛官も別の法律です。
金額は人によって違うので、この記事では割合と仕組みだけを書きます。
実際の額は、職場の人事担当と共済組合で確かめてください。

この記事の結論

📌 結論を先に

  • 長く休むときは、病気休暇 → 休職の順に扱いが変わる
  • 病気休暇の間は給料は減らない。ただし原則として連続90日まで
  • 休職になると、最初の1年は給料と一部の手当の80%を出せる(給与法23条3項)
  • 休職が1年を超えると給料は出ない。休職の期間は最長3年
  • 給料が減ったり止まったりした分は、共済の傷病手当金(標準報酬の日額の3分の2)が埋める
  • 傷病手当金は通算1年6か月まで。給料が手当金以上の間は出ない
  • 休職した月は、退職金の計算で半分が差し引かれる
  • 仕事が原因の病気やけがなら、休職中も給与の全額

まず全体の流れを見る

最初に、時期ごとの変わり方を1枚の表にしておきます。
国家公務員が、仕事とは関係のない病気(結核以外)で長く休んだ場合です。

時期立場給料共済の傷病手当金
休み始め〜原則90日病気休暇減らない給料が手当金以上なら出ない
休職1年目休職給料と一部の手当の80%を出せる給料が手当金より少なければ差額が出る
休職2年目以降休職出ない通算1年6か月に達するまで出る
休職3年まで休職出ない(1年6か月を使い切ると出ない)

ポイントは、給料と手当金が「どちらか多いほう」になるようにできていることです。
給料が十分に出ている間は手当金は出ず、給料が減ると手当金がその分を補います。
ここから、1段ずつ中身を見ていきます。

病気休暇|最初の90日は給料が減らない

病気やけがで療養が必要なとき、最初に使うのが病気休暇です(勤務時間法18条)。
年次休暇(有休)とは別の休暇で、要件に当たれば職場は承認しなければならない決まりです(人事院規則15-14 25条)。

給料はそのまま出る

給与法は、働かなかった時間の分を給料から差し引くと定めています。
ただし「休暇による場合」は差し引きの対象から外れています(給与法15条)。
病気休暇は休暇なので、休んでいる間も給料は満額です。

使えるのは原則として連続90日まで

仕事と関係のない病気やけがの病気休暇は、連続して90日を超えることはできません(人事院規則15-14 21条1項)。
90日の数え方からは、人事院が決めた日が除かれます。
一方で、仕事や通勤が原因のけがや病気は、この90日の枠に入りません。

もう一つ、給料の側にも90日の区切りがあります。
病気休暇が始まった日から90日を超えて続けて休んでいると、その先の病気休暇の日は俸給が半分になります(給与法附則6項)。
場合によってはこの区切りが1年になります。
90日が近づいてきたら、この先どうなるかを人事担当に聞いておくと安心です。

休職|1年目は8割、その先は無給

90日で治らず、まだ長く休む必要があるとき。
次に出てくるのが「休職」です。
心身の故障で長く休養が必要なときは、休職にできると決まっています(国家公務員法79条1号)。

休職になっても、公務員の身分はそのまま残ります。
仕事はしません。
そして給料は、給与法に書いてある分しか出ない決まりです。

休職中にいくら出るか

給与法は、休職の理由ごとに出せる給与を分けています。

休職の理由出せる給与期間
仕事や通勤が原因の病気・けが給与の全額休職の期間中ずっと
結核性の病気俸給と一部の手当の80%休職から満2年まで
それ以外の病気・けが俸給と一部の手当の80%休職から満1年まで

80%の対象になるのは、俸給・扶養手当・地域手当・広域異動手当・研究員調整手当・住居手当・期末手当です。
通勤手当や勤勉手当は、この並びに入っていません。
休職者には、ここに並んだもの以外の給与は出ません(23条6項)。

注意したいのは、条文の言い方が「支給することができる」になっている点です。
「必ず80%」ではなく、「80%まで出せる」という書き方です。
自分がどう扱われるかは、休職の辞令が出るときに確かめてください。

1年を過ぎると、給料は止まる

結核以外の病気なら、80%が出るのは休職から満1年までです。
その先は、休職が続いていても給料は出ません。
ここで生活を支えるのが、次に見る共済の傷病手当金です。

休職は最長3年

病気による休職の期間は、休養が必要な程度に応じて、3年を超えない範囲で決められます(人事院規則11-4 5条1項)。
最初に短く決めて、3年に達するまで延ばしていくこともできます。
途中で回復すれば、すぐに復職させる決まりです。

共済の傷病手当金|給料の減った分を埋める

共済組合には、病気やけがで働けない組合員のための傷病手当金があります(国家公務員共済組合法66条)。

項目内容
対象仕事によらない病気やけがで、療養のため続けて働けないとき
いつから働けなくなった日から3日たった次の日から
1日の額直近12か月の標準報酬の月額の平均を22で割り、その3分の2
もらえる期間同じ病気やけがについて、通算1年6か月(結核性の病気は3年)
給料が出ている日給料が手当金以上なら出ない。少なければ差額が出る

給料との関係

傷病手当金は、給料が出ている日には調整されます。
受け取る給料が手当金の額以上ならその日の手当金はゼロ、給料のほうが少なければ差額だけが出ます(国家公務員共済組合法施行令11条の4)。

給料が満額出る病気休暇の間も、給料が手当金の額以上なら手当金は出ません。
休職で給料が80%に下がると、手当金の額によっては差額が出ることがあります。
給料が止まる休職2年目からは、通算1年6か月の範囲で手当金がまるごと出ます。

1年6か月の数え方

1年6か月は「通算」で数えます。
給料が多くて手当金がまったく出ない日から始まっている場合は、実際に手当金が出始めた日から数えると書かれています(66条4項)。
給料が一部出た日の数え方など細かい点は、所属の共済組合に確かめてください。

逆に言うと、休職が3年続く場合、手当金だけでは最後までは届きません。
休職の期間と手当金の期間は、別々に進むものとして考えておく必要があります。

退職金にも影響する

見落としやすいのが、退職金への影響です。
退職金は、勤めた期間の長さで計算されます。
ここで、休職していた月の扱いが決まっています。

1日も職務につかなかった休職の月は、その月数の半分が、勤めた期間から差し引かれます(国家公務員退職手当法7条4項)。
たとえば休職の月が12か月あれば、6か月分が短くなる計算です。
ただし、仕事や通勤が原因の病気やけがによる休職は、この差し引きの対象から外れています。

退職金には、勤めた期間のほかに「調整額」という上乗せもあり、ここでも休職の月は扱いが変わります。
公務員の退職金、支給率だけでは決まらない?で詳しく扱っています。

回復しないまま3年がたったら

少し重い話ですが、知っておいたほうが落ち着いて考えられるので書いておきます。

国家公務員法は、心身の故障のため職務の遂行に支障がある、または職務に堪えない場合に、本人の意に反して降任や免職ができると定めています(78条2号)。
ただし、その条件は厳しく決められています。
任命権者が指定した医師2名が、長い療養が必要、または療養しても治りにくいと診断し、そのために職務に支障があることが明らかな場合です(人事院規則11-4 7条3項)。

退職することになった場合でも、共済の傷病手当金がすぐに切れるとは限りません。
1年以上組合員だった人が、退職のときに手当金を受けていれば、退職しなかったら受けられたはずの期間、続けて支給されます(国家公務員共済組合法66条5項)。
ほかの共済組合に入った場合は、この続きの支給はありません。

地方公務員は?

市役所や県庁、消防、都道府県警察、公立学校の職員も、病気で長く休養が必要なときは休職にできます(地方公務員法28条2項1号)。
ただし、休職の期間や給料の扱いは条例で決めることになっています(28条3項)。

実際の条例を1つ見てみます。
新潟県の給与条例は、休職中の給与を次のように決めています(38条)。

休職の理由新潟県の条例国(給与法23条)
仕事や通勤が原因全額全額
結核性の病気3年に達するまで全額満2年まで80%を出せる
それ以外の病気・けが1年に達するまで80%を支給する満1年まで80%を出せる
80%の対象給料・扶養手当・地域手当・住居手当・期末手当・寒冷地手当俸給・扶養手当・地域手当・広域異動手当・研究員調整手当・住居手当・期末手当

大きな形は国と同じですが、結核性の病気の扱いがはっきり違います。
寒冷地手当が入っているのも、地域の事情が出ているところです。
自治体によって違いが出るのは、こういう細部です。

自分の自治体を調べるときは、例規集で職員の給与条例を開き、「休職者の給与」の条を探してください。
病気休暇の日数や、長引いたときの給料の扱いは、給与条例とは別の条例や規則に書かれていることがあります。
共済の傷病手当金は、地方も国と同じ形です(地方公務員等共済組合法68条・71条)。

自衛官は?

自衛官を含む防衛省の職員は特別職で(国家公務員法2条3項16号)、別の法律で決まっています。
心身の故障で長い休養が必要なときに休職にできる点は同じです(自衛隊法43条1号)。

休職中の給与も、国の一般職と同じ形でした(防衛省職員給与法23条)。
仕事や通勤が原因なら全額、結核性の病気なら満2年まで80%、それ以外は満1年まで80%です。
80%の対象に営外手当が入っているのが、自衛官らしい違いです。

病気休暇の日数と、傷病手当金の扱いは、今回確かめきれませんでした。
書いていないことを推測で埋めるのはやめておきます。
部隊の人事担当と、所属の共済組合に確かめてください。

休み始めたらやっておきたいこと

  1. 診断書に書かれた療養の期間を控え、人事担当に病気休暇を申し出る
  2. 病気休暇の90日がいつ終わるかを、人事担当と一緒に数えておく
  3. 仕事や通勤が原因かどうかで扱いが大きく変わるので、心当たりがあれば早めに伝える
  4. 共済組合に、傷病手当金の申請の方法と、給料との調整を聞く
  5. 休職になるなら、辞令で期間と給料の割合を確かめる
  6. 休職が1年を超えたときの収入を、手当金の額で見積もっておく
  7. 地方公務員なら、例規集で休職者の給与の条を確かめる

ボーナスの扱いが気になる人は、公務員のボーナスは退職日で変わる?も読んでみてください。
休職中に退職する場合の期末手当に触れています。

長く休むときのお金の整理シート

人事担当や共済組合に相談する前に、分かるところだけ埋めてみてください。空いた欄が、そのまま相談で聞くことになります。

診断書に書かれた療養の期間

病気やけがの原因(仕事や通勤と関係があるか)

病気休暇を使い始めた日と、90日に達する日

自分に当てはまるルール(国の給与法か、自治体の条例か)

休職になった場合に出る給料の割合と、その期間

共済の傷病手当金の1日の額の見込み

共済組合に確かめること(申請方法・給料との調整・1年6か月の数え方)

このページを印刷すると、この1枚だけが出ます。ブラウザの印刷からPDFとして保存することもできます。

❓ よくある質問

Q. 病気休暇の前に、有休を使い切る必要がありますか。

A. 病気休暇は、年次休暇とは別の休暇として法律に並んでいます。
有休を使い切ることは、病気休暇の要件には入っていません。

Q. 休職は自分から申し出ることができますか。

A. 条文は「本人の意に反しても休職にできる」という形で書かれています。
まずは療養が長引きそうなことを伝えてください。

Q. 休職中の80%は、手取りの80%ですか。

A. 条文が80%としているのは、俸給や扶養手当などの額そのものです。
手取りではありません。
共済の掛金や税金の扱いは、共済組合や給与担当に確かめてください。

Q. 休職中のボーナスはどうなりますか。

A. 給与法23条の80%の対象には期末手当が入っています。
勤勉手当は入っていません。
休職1年目なら、期末手当の80%を出せる形です。

Q. 仕事が原因でうつになった場合はどうなりますか。

A. 仕事が原因の病気と認められて休職になれば、給与は全額です(給与法23条1項)。
共済の傷病手当金は仕事によらない病気が対象なので、仕事が原因の場合は公務災害の補償という別の制度の話になります。

Q. 復職したら、給料は元に戻りますか。

A. 休職中の80%や無給は、休職している間だけの扱いです。
復職すれば通常の給料に戻ります。
昇給など、その先への影響はこの記事で読んだ条文には書かれていないので、人事担当に確かめてください。

Q. 休職中に辞めたら、傷病手当金はもらえなくなりますか。

A. 1年以上組合員だった人が、辞めるときに手当金を受けていれば、残りの期間は続けて受けられます。
ただし、転職先でほかの共済組合に入ると、この続きの支給は止まります。

Q. 市役所の職員です。
国と同じように1年間80%が出ますか。

A. 条例しだいです。
新潟県のように国と同じく1年80%としている例がありますが、結核性の病気の扱いなど細部が違うこともあります。
自分の自治体の給与条例で「休職者の給与」の条を確かめてください。

Q. この記事は、いつの時点の情報ですか。

A. 2026年9月17日に、e-Gov法令検索と新潟県の例規集で確認した内容です。
国家公務員法や共済組合法には未施行の改正がありますが、この記事で引いた条文の中身は変わらないことを確かめています。

まとめ

  1. 長く休むときは病気休暇 → 休職の順に扱いが変わる
  2. 病気休暇は給料満額。ただし原則連続90日まで
  3. 休職の1年目は80%まで出せる。2年目以降は無給
  4. 休職は最長3年
  5. 給料が減った分は傷病手当金(3分の2・通算1年6か月)が埋める
  6. 休職の月は退職金の計算で半分が差し引かれる
  7. 仕事や通勤が原因なら休職中も全額
  8. 地方公務員は給与条例の「休職者の給与」を確認

✏️ 筆者から一言

体を壊して長く休むとき、不安の中心になるのは、病気そのものよりお金と職場に戻れるかどうかです。
条文を読むと、区切りごとに支えが用意されていました。
先が見えていれば、「いつまでに治さなければ」と自分を追い込まずに済みます。
元気なうちに、90日・1年・1年6か月・3年という4つの区切りだけでも覚えておいてください。

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最終確認 2026年9月17日。
法令・制度の記述は、年に1度と制度改正のときに見直しています。

この記事を書いた人

公務員UPDATE 運営者。元公務員(警察官)。交番勤務・自動車警ら係・刑事・生活安全を経験し、現在は独立して事業を営んでいます。記事では、在職中の経験か退職後の経験かを必ず区別して書いています。

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