公務員の資産形成は何から始める?共済・iDeCo・NISAの順番を整理する

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「資産形成を始めたほうがいい」とは聞くけれど、何から手をつければいいのか分からない。
証券口座、NISA、iDeCo、共済の年金——名前は知っていても、どれをどの順番で使うのかが整理されていない。

※本サイトでいう「公務員」には、独立行政法人・国立大学法人・日本銀行・日本年金機構等の職員(いわゆる準公務員)も含みます。
副業・兼業規定が国家公務員法・地方公務員法に準拠、または類似している職種を主な対象としています。

この記事では、公務員という立場を踏まえて、資産形成に手をつける順番を整理します。
商品の推奨はしません。
順番さえ間違えなければ、その後の選択はかなり楽になります。

⚠️ この記事の位置づけ

筆者は金融の専門家ではなく、この記事は制度の整理です。
個別の商品選択や金額の判断は、必ず公式情報を確認し、必要に応じて専門家にご相談ください。

この記事の結論

📌 結論を先に

  • 公務員の資産形成は、兼業規制の外側にある。資産運用による収入は営利企業を営むことに当たらない
  • 順番は「①家計の把握 → ②公的な土台の確認 → ③非課税制度の活用」。③から始めないこと
  • 共済という土台があることが公務員の特徴。そこを見ずに上物だけ積んでも、全体像は分からない
  • 制度の枠や上限額は改正で変わる。iDeCoの上限は2026年12月に上がるので、記事の金額は確認日時点のものとして扱う

前提|資産形成は兼業規制の対象外

最初に押さえたいのは、資産運用が副業・兼業の規制とは別の話だという点です。
預貯金の利息、株式の配当、投資信託の分配金といった収入は、一般に「営利企業を営むこと」にも「報酬を得て事業に従事すること」にも当たりません。

つまり許可を取らなくても始められる領域です。
副業に踏み出すには手続きの確認が要りますが、資産形成にはそれがありません。
ここが、公務員が最初に手をつけやすい理由です。

ただし、不動産の賃貸は規模によって「自営」に当たり、承認が必要になります。
この線引きは公務員の副業・兼業はどこまでOK?で条文にあたりながら整理しました。

資産形成に手をつける順番

③まで終えてから④に進む。順番を変えると効果が出にくい

①家計を把握する

1年分の入出金を見る

②生活防衛資金

生活費とは別の場所に置く

③公的な土台の確認

共済の年金・退職手当・保障

④非課税制度を使う

NISAとiDeCo

①〜③には一円も要らない。

順番①|家計を把握する

拍子抜けするかもしれませんが、ここが最初です。
毎月いくら入って、いくら出て、いくら残るのか。
この3つが分からないまま進むと、続けられない金額を設定して途中でやめる、という結果になりがちです。

公務員は収入側の把握が簡単です。
給料表があり、手当の種類も決まっているので、年間の見込みが立てやすい。
問題は支出側で、ここは民間と変わりません。

  • 毎月ほぼ固定で出ていくもの(住居、保険、通信、車、教育)
  • 変動するもの(食費、交際費、被服)
  • 年に数回まとめて出ていくもの(税、車検、帰省、家電の買い替え)

3つ目を見落とすと、月次では黒字なのに年間では貯まらなくなります。
まずは1年分の通帳とカード明細を眺めれば十分です。

順番②|生活防衛資金を確保する

投資に回す前に、現金で持っておく資金を決めます。
病気、家族の事情、想定外の出費。
これらが起きたときに投資商品を売らずに済むだけの現金があるかどうかで、その後の続けやすさがまったく変わります。

公務員は失業のリスクが低いぶん、この金額は小さくて済むという考え方もあります。
一方で、休職や介護で収入が一時的に下がることは起こり得ます。
自分の生活費の何か月分あれば安心して眠れるかで決めます。

置き場所も決めます。
生活費の口座に入れておくと、気づかないうちに使ってしまいます。
共済の貯金制度、給与天引き、別の金融機関。
方法は何でもよく、普段の生活費と物理的に分けることが効きます。

順番③|公的な土台を確認する

ここが公務員に特有の工程です。
多くの解説は「年金だけでは足りないから自分で備えよう」から始まりますが、その前に自分の土台を見る必要があります。

確認しておきたいのは次のあたりです。

  1. 共済組合の年金の仕組みと、将来の見込み額
  2. 退職手当の計算方法(勤続年数でどう変わるか)
  3. 共済の貯金制度や貸付制度があるかどうか
  4. 医療給付や休業給付など、いざというときの保障の内容

土台の厚みが分かると、上に何をどれだけ積むかが見えます。
ここを見ずに一般論で動くと、必要な額とずれた設計になります。

どこを見れば、自分の数字が分かるか

「確認してください」で終わる記事が多いので、実際にどこを見るかまで書いておきます。

  • 年金の加入記録と見込み額は、日本年金機構の「ねんきんネット」で確認できます。共済加入月数、標準報酬月額、標準賞与額、年金見込額、保険料納付額が表示されます
  • ただし全期間が共済組合期間の場合、年金見込額の試算機能は使えません。報酬比例部分の見込みは、加入している共済へ問い合わせることになります
  • 「ねんきん定期便」は、加入している共済から誕生月の下旬に届きます。国家公務員共済の場合、35歳・45歳・59歳は全加入期間の情報が入った節目の通知で、それ以外の年は直近13か月分の簡易版です
  • 退職手当は、国家公務員なら国家公務員退職手当法が根拠です。退職日の俸給月額に、退職事由と勤続年数で決まる支給率を掛けた基本額に、調整額を足して算定されます。地方公務員は各自治体の条例によります

人事担当に聞くときは、漠然と「退職手当はいくらですか」ではなく、「自分の勤続年数だと、支給率はいくつになりますか」と聞くほうが早く進みます。
金額は退職日の俸給月額で変わりますが、支給率が分かれば自分で計算できるからです。

順番④|非課税制度を使う

ここまで来て、ようやくNISAやiDeCoの出番です。
どちらも運用益が非課税という点は共通していますが、性質はかなり違います。

NISAiDeCo
主な利点運用益が非課税運用益が非課税に加え、掛金が所得控除の対象
引き出しいつでも可能原則60歳まで不可
向いている用途使う時期が決まっていない資金老後資金
注意点元本保証ではない途中でやめても引き出せない

公務員がiDeCoを使う場合の上限は、共済との関係で決まります。
国家公務員共済組合・地方公務員共済組合の組合員は厚生年金保険の第2号・第3号被保険者に当たり(厚生年金保険法2条の5)、拠出限度額は月額2万円です(確定拠出年金法施行令36条5号)。
ただし同じ号に、共済掛金相当額が月35,000円を超えるときは超えた分を2万円から差し引くという定めがあります(零を下回るときは零)。

この上限は2026年12月1日に上がります。
62,000円から共済掛金相当額を引いた額に変わり、35,000円という線引きは無くなります(令和7年政令442号による改正。2025年12月24日公布)。
ただし、まだ施行されていません。
いま出せるのは2万円までです。

金額は今後も変わり得ます。
手続きの前に、下記の条文かiDeCo公式サイトで現時点の額を確認してください。
独立行政法人などの職員は共済組合員でない場合が多く、区分が変わります。

いつ始めるかで何が変わるか

「早く始めたほうがいい」と言われるのは、運用期間そのものが効くからです。
期間が長いほうが、一時的な下落の影響は小さくなります。

ただし、公務員の場合はもう一つの理由があります。
定年が段階的に65歳へ引き上げられ、当分の間、61歳に達する年度以後の俸給月額は7割水準とされています。
つまり収入の高い時期と、低くなる時期の両方が制度として見えている。
積み立てに回しやすい時期を、あらかじめ見積もれるということです。

将来の給与が読めるのは民間にない有利さです。
定年引上げの中身は公務員を続けるメリット・デメリットで扱っています。

やってしまいがちな順番の間違い

よくある失敗を3つ挙げます。

  • 先に口座を開いてから考える。口座を作るのは無料ですが、目的が決まっていないと、何をいくら買うかが決まらず放置されがちです
  • 生活防衛資金を作る前に全額を投資に回す。値下がりした局面で現金が必要になると、売らざるを得なくなります
  • 共済の内容を知らないままiDeCoを始める。拠出できる額が共済との関係で決まる以上、土台を知らずには決められません

✏️ 筆者から一言

資産形成で最初にやったのは、家計の把握と、共済の内容の確認でした。
順番としては地味な作業です。
ただ、これをやったおかげで「どこまでなら踏み込めるか」の感覚が持てました。
在職中に不動産の賃貸に踏み出したのはその後で、しかも承認が不要とされる規模の範囲内までです。
個別の物件や収支の数字については、この記事でも触れません。

まとめ|順番さえ守れば、あとは時間が働く

整理します。

  1. 家計を把握する(1年分の入出金を眺める)
  2. 生活防衛資金を現金で確保する
  3. 共済の年金・退職手当・保障の内容を確認する
  4. そのうえでNISA・iDeCoを検討する。上限は条文か公式サイトで確認する

①〜③には一円も要りません。
④から始めたくなりますが、急がないほうが結果的に早い領域です。

あえて書かなかったこともあります。
どの商品を買うか、毎月いくら積み立てるか、何年で目標額に届くか。
家族構成も収入も違う読者に、一律には書けません。
代わりに書いたのが順番で、これは誰にとっても同じです。

順番チェック|④に進む前に、①〜③が終わっているか

①〜③には一円も要りません。ここが終わった時点で、自分がどれくらい備える必要があるのかがかなり具体的になります。

① 家計を把握した。1年分の入出金を見て、年に数回まとめて出ていくものも数えた

② 生活防衛資金をいくらに決めたか。どこに置くか

③ 共済の年金の見込み・退職手当の計算方法・保障の内容を確認した。確認先と確認日

④ NISA・iDeCoの上限を条文か公式サイトで確認した。確認日

書いた日

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この記事を書いた人

公務員UPDATE 運営者。元公務員(警察官)。交番勤務・自動車警ら係・刑事・生活安全を経験し、現在は独立して事業を営んでいます。記事では、在職中の経験か退職後の経験かを必ず区別して書いています。

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