公務員を辞めたい・辞めるべき?後悔しないための7つの判断基準

公務員を辞めたい・辞めるべき?後悔しないための7つの判断基準 のアイキャッチ画像 公務員のキャリア・転職

「辞めたい」と思う日は、たいてい突然来ます。
特定の一件がきっかけのこともあれば、積み重なったものが限界を超えることもあります。

※本サイトでいう「公務員」には、独立行政法人・国立大学法人・日本銀行・日本年金機構等の職員(いわゆる準公務員)も含みます。
副業・兼業規定が国家公務員法・地方公務員法に準拠、または類似している職種を主な対象としています。

この記事は、辞めることをすすめるものでも、思いとどまらせるものでもありません。
決める前に確かめておきたい7つの基準を並べます。
どれも在職中に確かめられることばかりです。

⚠️ 先に一つだけ

心身の不調が出ている場合、この記事の判断基準より先に休むことを優先してください。
疲れているときの判断は、後から見ると別人のものに見えることがあります。
共済組合の健康相談や、職場の産業医など、使える窓口があります。

この記事の結論

📌 結論を先に

  • 辞めるかどうかは手段の選択。先に決めるのは「どういう状態になりたいか」
  • 不満の原因が職場なのか職種なのか組織全体なのかで、打ち手がまったく変わる
  • 7つの基準のうち、4つ以上に明確に答えられるなら、判断の材料はそろっている
  • 答えられない項目があるなら、それを埋めるのが先。辞表はその後でも出せる

基準1|辞めたい理由は、職場・職種・組織のどれに属するか

最初に切り分けます。
同じ「辞めたい」でも、原因の所在で対処が変わります。

原因の所在具体例考えられる打ち手
職場(今の所属)上司との関係、特定の業務量、人間関係異動、配置換えの希望
職種(今の仕事の中身)業務内容が合わない、当直や交代制が続けられない職種変更、庁内公募、他の公務員試験
組織全体(公務という働き方)昇給の仕組み、意思決定の速度、評価のされ方民間への転職、独立

退職後に相談を受けていると、職場の問題を組織全体の問題だと思い込んでいるケースが少なくありません。
異動で解決する話なら、退職という重い手段を使う必要はありません。

切り分けの精度を上げるには、「いつから辞めたいのか」を思い出すのが有効です。
今の所属になってからなら職場の問題である可能性が高く、配属が変わっても続いているなら職種か組織の問題です。
採用されたときから一貫して違和感があるなら、そもそもの選択との相性を疑ったほうがいいかもしれません。

基準2|同じ状況が、異動しても続くか

基準1の答えを確かめる問いです。
「異動先が変わっても、この不満は残るか」と自分に聞いてみてください。

残らないなら、原因は職場にあります。
残るなら、職種か組織のほうです。
公務員は数年で異動する職種が多いので、この問いは現実的な意味を持ちます。

なお、異動の希望は出しても通らないことがあります。
ただ、希望を出したという記録は残ります。
何も言わずに辞めるより、できることをやったうえで判断するほうが、後の納得感が違います。

基準3|辞めた後の収入の下がり方を、数字で見たか

感覚ではなく数字で確かめる項目です。
確認するのは3つ。

  1. 現在の年収(手当・賞与を含む総額)
  2. 退職手当の見込み額(勤続年数で変わります。共済や人事担当で確認できます)
  3. 転職先として想定する業種・職種の相場

2つ目は、聞き方で手間が変わります。
国家公務員なら国家公務員退職手当法、地方公務員なら各自治体の条例が根拠で、退職日の俸給月額に、退職事由と勤続年数で決まる支給率を掛けた額が基本になります。
人事担当に確認するときは「自分の勤続年数だと支給率はいくつか」と「自己都合と定年で支給率がどれだけ違うか」の2点に絞ると、必要な数字がそろいます。
年金の見込みも含めた調べ方は公務員の資産形成は何から始める?にまとめました。

なお、国家公務員の退職手当は基本額に調整額を加えた額です(国家公務員退職手当法2条の4)。
支給率で出るのは基本額のほうなので、支給率だけで全額が決まるわけではありません。

📚 この記事で参照した一次情報

最終確認 2026年9月2日。
法令・制度の記述は、年に1度と制度改正のときに見直しています。

3つ目は求人情報を見れば分かります。
ここで初めて「思ったより下がらない」と分かる人もいれば、「これは厳しい」と分かる人もいます。
どちらにしても、見ないまま決めるより見てから決めるほうがいいのは確かです。

あわせて確認しておきたいのが、辞める時期による差です。
退職手当は勤続年数で変わりますし、賞与の支給日や、年度の区切りとの関係で受け取れる額が動くこともあります。
数か月ずらすだけで金額が変わるなら、それを知ったうえで時期を選ぶほうが得です。
制度の中身は人事担当や共済組合に聞けば教えてもらえます。

基準4|生活防衛資金があるか

転職活動が想定より長引く、入社した先が合わない、体調を崩す。
どれも起こり得ます。
そのときに現金があるかどうかで、選択の自由度が変わります。

お金がない状態で転職活動をすると、条件の悪い選択肢を受け入れざるを得なくなります。
辞めた後の選択肢の数は、手元の現金の量で決まるという面があります。

いくら必要かは生活の前提で変わりますが、算出の手順は公務員の資産形成は何から始める?で扱っています。

基準5|自分の経験を、外の言葉で説明できるか

職務経歴書を書いてみると分かります。
書けないとしたら、能力がないのではなく、翻訳をまだしていないだけの場合が多い。

手順は公務員の市場価値は低い?に4段階でまとめました。
この作業は無料で、しかも辞めない場合にも役に立ちます。
辞めるかどうかを決める前に、一度やっておく価値があります。

補足すると、この基準は「書けるか」であって「立派に書けるか」ではありません。
最初の一枚は、たいてい業務名の羅列になります。
それでも構いません。
書いてみて初めて、自分がどこを言葉にできていないかが分かります。

基準6|家族と話したか

これを最後に回す人が多いのですが、実際にはかなり早い段階でやったほうがいい項目です。

理由は2つあります。
1つは、収入の変化が家族全体に及ぶこと。
もう1つは、反対されたときに出てくる理由が、判断材料になることです。
「安定が惜しい」なのか「あなたが壊れそうで心配」なのかでは、話の性質がまったく違います。

話しにくい場合は、「辞めようと思う」ではなく「こういうことを考えている」から始めるほうが進みます。
決定事項として伝えると、内容ではなく伝え方が問題になります。

反対されたときにもう一つ確かめたいのは、家族が何を心配しているのかという中身です。
収入なのか、世間体なのか、本人の消耗なのか。
そこが分かると、話し合いが対立ではなく共同作業になります。

基準7|1年後の自分が、この判断をどう見るか

最後は時間軸の問いです。
今日の判断を、1年後の自分はどう評価するか。

この問いが効くのは、感情の波を切り離せるからです。
特定の一件で「もう無理だ」と思った日と、落ち着いている日とでは、同じ状況が違って見えます。
辞めるという判断は取り消せないので、波の高いところで決めないほうがいい。

実務的な方法として、「辞めたい」と思った日に日付とその理由を書き留めておき、3か月ためて読み返す、というやり方があります。
同じ理由が繰り返し出てくるなら、それは構造的な問題です。
ばらばらなら、その日の出来事に反応していただけかもしれません。

辞めない場合にも、この7つは効く

見落とされがちな点を一つ。
この7つの基準は、辞めないと決めた場合にもそのまま役に立ちます。

収入の見通しを数字で把握したこと、生活防衛資金を作ったこと、経験を外の言葉で書けるようにしたこと、家族と将来の話をしたこと。
どれも、公務員を続けるうえで有利に働くものばかりです。
準備そのものに、辞める前提は要りません。

だからこそ、順番としては準備が先です。
準備を終えてから考えると、「辞めたいから辞める」ではなく「選べる中で選ぶ」という形になります。

✏️ 筆者から一言

実際に退職を選びましたが、決め手になったのは「今の職場が嫌だ」ではなく「やりたいことの形が具体的になった」ほうでした。
逃げる形での退職と、向かう形での退職は、同じ手続きでも後の景色がかなり違うと思います。
在職中にできる準備をひととおり済ませてから動いたことが、結果的にはよかったと感じています。

7つの基準の使い方

並べ直します。

  1. 辞めたい理由は、職場・職種・組織のどれに属するか
  2. 同じ状況が、異動しても続くか
  3. 辞めた後の収入の下がり方を、数字で見たか
  4. 生活防衛資金があるか
  5. 自分の経験を、外の言葉で説明できるか
  6. 家族と話したか
  7. 1年後の自分が、この判断をどう見るか

4つ以上に明確に答えられるなら、判断の材料はそろっています。
答えられない項目が3つ以上あるなら、まずそこを埋めてください。
辞表はいつでも出せますが、出した後には戻せません。

まとめ|決めるのは、材料がそろってから

辞めるかどうかは、最終的には本人にしか決められません。
ただ、決める前に確かめられることは想像よりずっと多く、そのほとんどが在職中に、無料で、誰にも知られずにできます。

そして確かめた結果として「続ける」を選ぶ人もいます。
それは以前と同じ状態に見えて、まったく違います。
他に選べないから続けているのではなく、比べたうえで選んでいるからです。

判断チェックシート|7つの基準

4つ以上に明確に答えられるなら、判断の材料はそろっています。答えられない項目が3つ以上あるなら、まずそこを埋めてください。辞表はいつでも出せますが、出した後には戻せません。

1. 辞めたい理由は、職場・職種・組織のどれに属するか

2. 異動しても、同じ状況は続くか

3. 現在の年収/退職手当の見込み/想定する業種の相場

4. 生活防衛資金はいくらあるか

5. 自分の経験を、外の言葉でどう説明するか

6. 家族と話したか。相手が心配しているのは何か

7. 1年後の自分は、この判断をどう見るか

明確に答えられた項目の数

このページを印刷すると、この1枚だけが出ます。ブラウザの印刷からPDFとして保存することもできます。

📖 次に読みたい記事

この記事を書いた人

公務員UPDATE 運営者。元公務員(警察官)。交番勤務・自動車警ら係・刑事・生活安全を経験し、現在は独立して事業を営んでいます。記事では、在職中の経験か退職後の経験かを必ず区別して書いています。

この記事で解決しなかったことはありませんか

読んでも分からなかったこと、自分の場合はどう考えればいいか判断がつかなかったこと。よければ教えてください。お名前は任意で、ニックネームでも構いません。個別の返信はお約束できませんが、いただいた質問は、記事の形で扱うことがあります。

質問を送る

公務員のキャリア・転職
シェアする
公務員UPDATE 運営者をフォローする
タイトルとURLをコピーしました