30代に入ったあたりから、ふと「このままでいいのだろうか」と考える瞬間が増えます。
仕事が嫌なわけではない。
給料が極端に低いわけでもない。
それでも、10年後の自分がはっきり想像できてしまうことに、落ち着かなさを感じる——そういう類の不安です。
※本サイトでいう「公務員」には、独立行政法人・国立大学法人・日本銀行・日本年金機構等の職員(いわゆる準公務員)も含みます。
副業・兼業規定が国家公務員法・地方公務員法に準拠、または類似している職種を主な対象としています。
この記事では、その不安を「正体の分からない不安」のままにせず、5つの問いに分解して考える方法を書きます。
答えを出すことより、まず自分がどこで詰まっているかを特定するのが目的です。
この記事の結論
📌 結論を先に
- 30代の不安は漠然としているから重い。分解すると、たいてい1つか2つに絞られる
- 「辞めるか続けるか」から考え始めない。何が不満なのかを先に特定する
- 5つの問いのうち、答えに詰まったものが、いま手をつけるべき場所
なぜ30代でこの感覚が来るのか
20代のうちは、覚えることが多く、目の前の仕事に追われます。
ところが30代になると一通りの業務が回せるようになり、組織の中での自分の位置もおおよそ見えてきます。
同時に、上の世代の10年後・20年後が、そのまま自分の将来像として目に入るようになります。
さらに、この年代は生活の変化が重なりやすい時期でもあります。
住宅の購入、子どもの進学、親の状況。
いずれもお金と時間の前提が固まっていく出来事で、身動きの取りやすさが年々下がっていく感覚につながります。
つまり30代の不安は、性格の問題でも根性の問題でもなく、情報が増えて選択肢の輪郭が見えてきたことの裏返しです。
見えるようになったからこそ、確かめる価値があります。
問1|不安の対象は、仕事・お金・時間のどれか
最初にやることは、不安の対象を3つに切り分けることです。
- 仕事の不安:やりがい、人間関係、異動先、この仕事を続ける意味
- お金の不安:昇給の頭打ち、教育費、住宅ローン、老後
- 時間の不安:拘束時間、当直や休日出勤、家族と過ごす時間
紙に書き出してみると、たいていどれか1つが突出しています。
「全部が不安」と感じていても、書いてみると実は時間の問題だけだった、ということは珍しくありません。
混ぜたままにしておくと、何をしても効いた感じがしない状態になります。
切り分けが役に立つのは、打ち手の性質がまったく違うからです。
時間の不安は異動や勤務形態の変更で動くことがあり、比較的短期で状況が変わります。
お金の不安は制度と家計の把握でかなり小さくできますが、効果が出るまでに年単位かかります。
仕事そのものの不安は、いちばん時間がかかり、そして自分の中で答えが変わることもあります。
同じ「不安」でも、待てば解決するものと、動かないと変わらないものがあるということです。
問2|制度上、5年後・10年後に何が起きるか説明できるか
意外と答えられないのがこれです。
自分の給料が今後どう上がるのか、役職定年で何が変わるのか、退職手当がどう計算されるのか。
感覚では分かっていても、根拠となる規定を見たことがある人は多くありません。
押さえておきたい制度の動きを1つ挙げるなら、定年の引上げです。
国家公務員の定年は令和5年度(2023年度)から2年に1歳ずつ引き上げられ、令和13年度(2031年度)から65歳になります。
また、当分の間、61歳に達する年度以後の俸給月額は7割水準とされています。
地方公務員についても、これに準じた改正が行われています。
ただし自衛官はこの枠組みの外です。
自衛官は定年に達した日の翌日に退職し(自衛隊法45条1項)、その定年は勤務の性質に応じ階級ごとに政令で定められます(同条2項)。
自衛官以外の隊員の定年は65歳です(同法44条の6第2項)。
📚 この記事で参照した一次情報
最終確認 2026年9月1日。
法令・制度の記述は、年に1度と制度改正のときに見直しています。
働く期間が延びる一方で、後半の給与水準は下がる。
この2つが同時に起きることが、キャリアを早めに考える理由になります。
詳しくは公務員を続けるメリット・デメリットで扱っています。
問3|自分の仕事を、外の人に説明できるか
これは市場価値の話ではなく、言語化の話です。
「予算の取りまとめをしていました」「窓口対応をしていました」という説明は、同じ組織の人にしか伝わりません。
試してみる価値があるのは、自分の1年間の仕事を、その業界を知らない友人に3分で説明してみることです。
うまく説明できないとしたら、それは価値がないからではなく、翻訳の作業をまだしていないからです。
手順は公務員の市場価値は低い?に整理しました。
翻訳のコツを一つだけ挙げるなら、業務名ではなく何を判断し、何を動かしたかで語ることです。
「窓口対応」は業務名ですが、「制度を知らない相手に、限られた時間で要点を伝えて手続きまで完了させる仕事」と言い換えれば、どの業界の人にも伝わります。
公務員の仕事には、この種の言い換えができるものが多く含まれています。
問4|収入を増やす経路を、いくつ知っているか
公務員の収入は給料表で決まっており、成果を出したから今年から倍になる、ということは基本的に起きません。
だからこそ、給料以外の経路を知っているかどうかで見通しが変わります。
経路は大きく3つです。
- 給料そのもの(昇任、資格による手当、超過勤務の扱い)
- 制度の範囲で認められる兼業
- 資産形成(兼業規制の対象外)
2つ目については、許可・承認が必要になる水準が法令と規則で決まっています。
知らずに始めると処分の対象になり得るので、公務員の副業・兼業はどこまでOK?で条文を確認してから考えてください。
3つをどう組み立てるかは公務員が収入を増やす方法で、制度の前提から整理しています。
問5|いま辞めるとしたら、何が足りないか
辞めることをすすめる問いではありません。
逆です。
「辞めるとしたら何が足りないか」を具体的に書き出すと、その多くは在職中に埋められるものだと分かります。
| 足りないもの | 在職中にできること |
|---|---|
| 外で通じる実績の説明 | 職務経歴を毎年書き足しておく |
| 生活防衛資金 | 支出を把握し、当面の生活費を確保する |
| 業界の相場観 | 求人情報を定期的に眺める |
| 家族の理解 | 早い段階で話しておく |
この表を埋めていくと、辞めるための準備が、そのまま辞めない場合にも役立つことに気づきます。
だから準備から始めるのが合理的です。
放っておくと何が起きるか
この種の不安は、放置しても消えません。
厄介なのは、消えない代わりに「考えないようにする」という形で処理されていくことです。
そうなると起きるのは、選択肢が静かに減っていくことです。
年齢が上がれば転職市場での見られ方は変わりますし、住宅ローンや教育費が始まれば、収入を落とす選択は取りにくくなります。
10年後に「やっぱり考えよう」と思ったときには、同じことを考えるコストが今よりずっと高くなっています。
逆に言えば、30代は確かめるコストがいちばん安い時期です。
情報を集めるだけなら費用はかかりませんし、この段階では何も決めなくて構いません。
決めるのは、材料がそろってからで十分です。
✏️ 筆者から一言
在職中の30代のころ、いちばん重かったのは仕事の内容そのものではなく、「この先どうなるかを自分では決められない」という感覚でした。
今になって思うのは、当時の自分に必要だったのは決断ではなく、確かめる作業だったということです。
制度を読む、相場を調べる、家族と話す。
どれも辞表を出さずにできることでした。
まとめ|答えを出す前に、詰まっている場所を特定する
5つの問いをもう一度並べます。
- 不安の対象は、仕事・お金・時間のどれか
- 制度上、5年後・10年後に何が起きるか説明できるか
- 自分の仕事を、外の人に説明できるか
- 収入を増やす経路を、いくつ知っているか
- いま辞めるとしたら、何が足りないか
答えに詰まったものが1つでもあれば、そこが今の弱点です。
5つ全部に取り組む必要はありません。
詰まった1つを埋めるだけで、不安の輪郭はかなりはっきりします。
最後に一つ。
この5つの問いは、誰かに提出するものではありません。
評価されるわけでも、決断を迫られるわけでもない。
だからこそ、正直に書けます。
上司にも家族にも言えないことを、自分のためだけに書き出す作業には、それ自体に整理の効果があります。
書き出したものは、半年後にもう一度読み返してみてください。
同じ不安が残っていれば、それは本物です。
消えていれば、当時の状況が生んだ一時的なものだったということになります。
時間を空けて2回確かめる。
これだけで判断の精度はかなり上がります。
書き出してみる|不安を分解する5つの問い
答えを出す必要はありません。詰まったものが1つ見つかれば、それが今の弱点です。半年後にもう一度書いて、同じ答えが残るかを確かめてください。
1. 不安の対象は、仕事・お金・時間のどれか。いちばん重いものを1つ
2. 制度上、5年後・10年後に自分に何が起きるか
3. 自分の1年間の仕事を、業界を知らない人にどう説明するか
4. 収入を増やす経路を、いくつ知っているか
5. いま辞めるとしたら、何が足りないか
書いた日
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📖 次に読みたい記事
- 収入の増やし方から考えたいなら →「公務員が収入を増やす方法」
- 辞めるかどうかで迷っているなら →「公務員を辞めたい・辞めるべき?後悔しないための7つの判断基準」
- 自分の経験の説明の仕方を知りたいなら →「公務員の市場価値は低い?」
- 何を学べばいいか迷っているなら →「これからの公務員に必要なスキル」
- 全体像から確かめたいなら →「公務員のキャリア形成完全ガイド」

