公務員の給料は給料表で決まっています。
成果を出したから今年から倍になる、ということは起きません。
その前提の中で収入を増やそうとするなら、経路を知っているかどうかがそのまま差になります。
※本サイトでいう「公務員」には、独立行政法人・国立大学法人・日本銀行・日本年金機構等の職員(いわゆる準公務員)も含みます。
副業・兼業規定が国家公務員法・地方公務員法に準拠、または類似している職種を主な対象としています。
この記事では、収入を増やす経路を3つに整理します。
給料そのもの、制度の範囲で認められる兼業、そして資産形成です。
どれも制度上の前提があるので、そこから順に見ていきます。
⚠️ 順番を間違えないでください
収入を増やす話は、兼業から入りたくなります。
しかし公務員の場合、兼業には法令上の制限があり、知らずに始めると処分の対象になり得ます。
必ず制度の確認を先に行ってください。
この記事の結論
📌 結論を先に
- 経路は3つ。給料・兼業・資産形成。それぞれ制度上の前提が違う
- いちばん確実で、いちばん見落とされているのが給料そのものの経路
- 兼業は許可・承認の要否を確認してから。手続きの外で始めない
- 資産形成は兼業規制の対象外。ここが最も着手しやすい
収入を増やす3つの経路
同時に始めない。手続きが要らないものから順に確かめる
昇任・昇格と、取りこぼしている手当がないか
手続き不要
兼業規制の対象外。共済とNISA・iDeCo
手続き不要
認められる範囲が法令と規則で決まっている
承認・許可が要る
順番は 給料 → 資産形成 → 兼業。
経路1|給料そのものを増やす
地味に見えますが、確実性ではこれが一番です。
しかも、給料の決まり方を正確に知っている人は意外と少ない。
昇任・昇格
級が上がれば俸給月額が上がり、賞与や退職手当の計算にも影響します。
昇任試験がある組織なら、受験資格と出題範囲を確認するところから始まります。
受けないという選択も当然ありますが、受けないことを選んでいるのか、知らないだけなのかは区別しておきたいところです。
手当を取りこぼさない
住居、扶養、通勤、単身赴任、特殊勤務。
手当の種類は多く、要件を満たしているのに申請していないケースがあります。
特に、家族構成や住居が変わったときの届出漏れは起きやすい。
年に一度、給与明細と手当の一覧を突き合わせるだけで見つかることがあります。
どこに書いてあるかも挙げておきます。
国家公務員なら一般職の職員の給与に関する法律と人事院規則、地方公務員なら各自治体の給与条例と規則に、手当の種類と支給要件が定められています。
自治体の規程は例規集としてウェブで公開されていることが多く、庁内のシステムからも参照できます。
給与明細に並んでいる手当名と、規程に載っている手当名を突き合わせるのが確実です。
📚 この記事で参照した一次情報
最終確認 2026年8月25日。
法令・制度の記述は、年に1度と制度改正のときに見直しています。
資格による加算
職種によっては、特定の資格が手当や処遇に結びつきます。
自分の組織でどの資格が対象になっているかは、給与に関する規程を見れば書いてあります。
学ぶ対象の選び方はこれからの公務員に必要なスキルでも扱っています。
超過勤務の扱いを正しく理解する
残業を増やして収入を上げる、という話ではありません。
逆に、実際に働いた時間が正しく記録され、正しく支給されているかの確認です。
持ち帰りや自主的な残業として処理されている時間があるなら、それは収入の問題であると同時に、労務管理の問題でもあります。
この経路の良いところは、手続きが要らず、今日から確認できる点です。
兼業や投資と違って、誰の許可も必要ありません。
そして見つかった取りこぼしは、翌年以降も毎年効いてきます。
経路2|制度の範囲で認められる兼業
ここが最も注意を要する経路です。
国家公務員法と地方公務員法には、営利企業への従事や自ら事業を営むことを制限する規定があり、一定の規模を超えると許可や承認が必要になります。
ポイントは、これが「禁止」ではなく「制限と許可制」だということです。
許可を取れば認められる範囲があり、そもそも許可が不要な範囲もあります。
さらに、2026年4月には自営兼業制度の見直しが施行され、承認が必要になる規模の基準が変わったほか、「職員の有する知識・技能をいかした事業」「社会貢献に資する事業」が承認の対象として位置づけられました。
条文と一次情報にあたった整理は公務員の副業・兼業はどこまでOK?にあります。
この記事で強調しておきたいのは1点だけです。
家族の名義にして実質は自分が営む、という方法は取らないこと。
当ブログはこの方法を扱いません。
発覚したときに、制度違反以外の問題まで一度に抱えることになるからです。
兼業を考えるとき、多くの人が最初に思い浮かべるのはアルバイトのような「時間を売る」形です。
しかし公務員の場合、報酬を得て事業や事務に従事すること自体が制限の対象なので、この形はいちばん手続きが重くなります。
制度の見直しで承認の対象に加わった「知識・技能をいかした事業」「社会貢献に資する事業」は、むしろ時間を売る働き方とは別の方向を向いています。
自分が持っているものを外で活かすという形であれば、制度の想定からも外れにくいということです。
経路3|資産形成
預貯金の利息、株式の配当、投資信託の分配金といった資産運用による収入は、一般に営利企業を営むことにも報酬を得て事業に従事することにも当たらないと整理されています。
つまり許可を取らずに始められる領域です。
公務員にとってこの経路が有利な理由が2つあります。
- 収入の予測が立てやすい。給料表があるため、毎月いくら積み立てられるかを長期で見積もれる
- 共済という土台がある。年金や退職手当の見込みが分かるので、上に積む必要額を具体的に計算できる
ただし順番があります。
家計の把握、生活防衛資金、共済の内容確認を先に済ませてから、非課税制度の活用に進む。
この順番は公務員の資産形成は何から始める?で詳しく書きました。
注意点も書いておきます。
資産形成は、増える保証のあるものではありません。
値動きのある商品を使う以上、下がる時期は必ずあります。
「収入を増やす経路」として並べていますが、給料や兼業とは性質が違い、時間をかけることが前提になります。
3つの経路を比べる
| 確実性 | 手続き | 着手のしやすさ | |
|---|---|---|---|
| 給料 | 高い | 不要(申請漏れの確認のみ) | すぐできる |
| 兼業 | 内容による | 許可・承認の確認が必須 | 確認が終わってから |
| 資産形成 | 時間がかかる | 不要 | すぐできる |
この表から言えるのは、まず給料と資産形成から手をつけるのが合理的だということです。
どちらも手続きが要らず、今日から始められます。
兼業は、制度の確認という前工程が必ず入ります。
どれくらい増やす必要があるのかを先に決める
経路の話をする前に、本当は決めておきたいことがあります。
月にいくら増えれば、今の悩みは解消するのかという点です。
「収入を増やしたい」という言い方のままだと、いくら増えても足りない感覚が続きます。
一方、「毎月3万円あれば教育費の不安はなくなる」と具体化できれば、取るべき手段はかなり絞られます。
手当の見直しで届く額なのか、兼業まで必要な額なのかが分かるからです。
金額の目安を出すには、家計の把握が先になります。
遠回りに見えますが、ここを飛ばすと手段だけが増えて、達成感のない状態になりがちです。
✏️ 筆者から一言
「収入を増やす」と考えたとき、最初に思い浮かんだのは兼業でした。
ただ、動く前に規定を読んで分かったのは、手をつけられる順番が決まっているということです。
在職中に行っていたのは、承認が不要とされる規模の範囲内での不動産の賃貸だけで、退職後に手がけているブログ・ウェブ制作・動画編集・AIツールを使った業務改善は、在職中には行っていません。
記事の中では、この区別を必ず書くようにしています。
もう一つ、経路を選ぶときの視点があります。
増やしたいのがお金なのか、それとも「自分で決められる部分」なのかという区別です。
同じ月3万円でも、手当の見直しで得たものと、自分で始めた事業で得たものとでは、本人にとっての意味がかなり違います。
やってはいけない3つのこと
最後に、避けるべきことを挙げます。
- 確認せずに始める。「小さい額だから大丈夫」という判断は通りません。規模の基準は規則に書かれています
- 名義を他人に借りる。実質を伴わない切り分けは、対策ではなくリスクの上乗せです
- 職務上知り得た情報を使う。守秘義務は退職後も続きます。収入の手段として使えるものではありません
まとめ|順番は、給料 → 資産形成 → 兼業
整理します。
- 給料:手当の取りこぼしを確認し、昇任の要件を調べる。今日できる
- 資産形成:家計の把握から始め、共済の内容を確認する。今日できる
- 兼業:自分に適用される法令と規則を読み、承認が必要な水準を確認する。確認してから動く
この順番なら、制度に触れる前にできることを先に終えられます。
そして3つ目に進むころには、自分にとってどれくらいの上積みが必要なのかも見えているはずです。
必要額が分かってから手段を選ぶほうが、手段から入るより結局は早く着きます。
確認シート|いくら増やしたいのか、どの経路で届くのか
金額を先に決めると、手段が絞れます。兼業の欄は、規則を読んでから書いてください。
月にいくら増えれば、いまの悩みは解消するか
給料|要件を満たしているのに申請していない手当はあるか
給料|昇任試験の受験資格と出題範囲を確認したか
資産形成|家計の把握と生活防衛資金は、どこまで進んでいるか
兼業|自分に適用される法令・規則の名前と、承認が必要になる水準
兼業|人事担当に確認した日と、回答の要旨
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📖 次に読みたい記事
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- 資産形成の順番を知りたいなら →「公務員の資産形成は何から始める?」
- 続けた場合の見通しを知りたいなら →「公務員を続けるメリット・デメリット」
- 全体像から確かめたいなら →「公務員のキャリア形成完全ガイド」

