公開 2026年10月4日
10月1日、民間から転職して、公務員としての初日を迎えた。
辞令をもらって、席に案内されて、やっと一息ついたところで、ふと思う。
「最初の半年は、試用期間みたいなものなのかな」。
聞いてみたいけれど、初日に人事の人へ聞くことでもない気がして、そのまま飲み込んでしまう。
そんな人は少なくないはずです。
もう1人は、4月に入庁して半年がたった人です。
正式になりました、という知らせは何も来ません。
「自分はもう正式なのかな」「途中で病気休暇を取ったけれど、影響はあるのかな」。
気になっていても、聞くきっかけが見つからないまま、半年が過ぎてしまうことがあります。
先に答えを言うと、公務員の採用は、いったん「条件付き」で始まり、半年勤めて良好な成績だったときに正式になります(国家公務員法59条1項、地方公務員法22条)。
その間は、正式な職員に比べて身分の守りが薄くなる決まりもあります(国家公務員法81条、地方公務員法29条の2)。
半年の意味、延長される場合、守りが薄くなる範囲、先生や転職組の例外。
この4つを、条文で順に確かめます。
※本サイトでいう「公務員」には、独立行政法人・国立大学法人・日本銀行・日本年金機構等の職員(いわゆる準公務員)も含みます。
副業・兼業規定が国家公務員法・地方公務員法に準拠、または類似している職種を主な対象としています。
⚠️ 先にお断りしておきます
この記事は、一般職の国家公務員と地方公務員の条文を読んだものです。
自衛官は国家公務員法が適用されない特別職なので、そのまま当てはまりません。
また、条件付採用期間中にどんな場合に外されるのか、その細かい基準は、国は人事院規則、地方は条例に任されています。
その中身までは確かめきれていないので、書きません。
不安なときは、人事の担当に聞くのが確実です。
この記事の結論
📌 結論を先に
- 公務員の採用は、いったん条件付きで始まる。半年(国は規則で別の期間もある)勤めて、良好な成績で仕事をしたときに正式になる(国家公務員法59条1項、地方公務員法22条)
- 国は、何もなければ半年が終わった翌日に正式になる
- 半年のうちに実際に勤務した日数が90日に満たないと、90日になるまで延びる。ただし最長1年
- 地方は、人事委員会等が規則で1年を超えない範囲で延長できる
- 条件付の間は、通常の身分保障と不服申立ての規定が適用されない(国家公務員法81条、地方公務員法29条の2)。ただし懲戒の規定は除かれていない
- 公立小中学校などの先生は、半年ではなく1年
- 国の職員だった人が地方などを経て戻る場合は、条件付にしないことがある
最初の半年は「仮」の採用。条文はこう書いている
まず、条件付採用とは何かです。
国家公務員は、採用も昇任も、原則として「条件付」で行います。
その官職で6か月勤務し、その間、職務を良好な成績で遂行したときに、正式になります(国家公務員法59条1項)。
6か月が適当でない職員は、人事院規則で別の期間を決められる、という含みもあります。
地方公務員は、もっとはっきりしています。
採用は全て条件付です。
6か月勤務し、その間良好な成績で職務を遂行したときに、正式になります(地方公務員法22条)。
| 国家公務員 | 地方公務員 | |
|---|---|---|
| 条件付になるか | 原則として条件付。ただし人事院規則で定める者・場合を除く | 採用は全て条件付 |
| 期間 | 6か月。規則で別の期間を定める職員もある | 6か月。人事委員会等は規則で1年を超えない範囲で延長できる |
| 正式になる条件 | その官職で期間を勤務し、良好な成績で職務を遂行したとき | 同じ |
ここまで読んで、「半年のあいだ、評価され続けるのか」と身構えた人もいるはずです。
条文が書いているのは、半年勤めて、職務を良好な成績で遂行したら正式になる、という流れです。
新しい職場で慣れるだけで精一杯の半年に、特別な成果を求めているわけではありません。
それでも、仮の期間だという事実は、頭の片隅に置いておいて損はありません。
半年が過ぎたら、何か手続きがある?
半年が終わっても、正式になりました、という通知が来ないことがあります。
では、いつ、どうやって正式になるのか。
ここを確かめます。
国家公務員は、人事院規則が答えを書いています。
条件付任用の期間が終わる前に、任命権者が別段の措置をしない限り、期間が終わった日の翌日に、採用は正式になります(人事院規則八―一二第32条の2)。
つまり、何も起きなければ、自動的に正式になる形です。
通知が来ないのは、何も起きていない、ということでもあります。
地方公務員は、正式になる手続きの形が自治体の規則に任されています。
条文は、半年勤めて良好な成績で遂行したときに正式になる、と書くだけです(地方公務員法22条)。
辞令が出る自治体もあれば、何も出ない自治体もあるはずです。
自分の自治体では、いつ・どんな形で正式になるのか、人事の担当に聞いてみてください。
もう1つ、見落としやすいことがあります。
条件付採用期間中に、別の官職に任命されても、国では期間が引き続きます(人事院規則八―一二第33条)。
半年のうちに配置換えがあっても、そこで最初からやり直しになるわけではありません。
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半年のうちに「もう辞めたい」と思った人は、先に辞職の手続きと、辞めた翌日から変わる保険・年金を確かめておくと安心です。
→「辞めると決めたら、何をいつ出す?公務員の「辞職」の手続きと、辞めた翌日から変わる保険・年金を条文で確かめる」
病気やけがで休んだら、半年は延びる?
2人目の読者が気にしていた点です。
最初の半年のあいだに、病気休暇や育児休業で休んだら、条件付の期間はどうなるのか、確かめます。
国家公務員には、これを決めた条文があります。
条件付採用期間の開始後6か月間に、実際に勤務した日数が90日に満たない職員は、その日数が90日になるまで、期間が引き続きます。
ただし、開始後1年を超えることはありません(人事院規則八―一二第34条)。
| 半年のあいだの実際に勤務した日数 | 条件付採用期間 |
|---|---|
| 90日以上 | 半年で終わる(延びない) |
| 90日に満たない | 90日に達するまで引き続く。ただし開始後1年が上限 |
ここで数えるのは、「実際に勤務した日数」です。
病気休暇や育児休業で休んだ日は、含まれません。
いきなり長く休むことになった人は、半年では終わらない可能性がある、と知っておくと慌てずに済みます。
私は、これが知らされないまま延びたら、いちばんびっくりするところだと思っています。
休んでいた間の気持ちだけで手一杯のときに、「あなたはまだ条件付です」と言われたら、きっと心がざわつきます。
復帰する前に、人事の担当へ一度聞いておけば、こうした驚きはかなり減らせます。
地方公務員は、人事委員会等が規則で、1年を超えない範囲で延長できます(地方公務員法22条)。
どんな場合に延長するのかは自治体の規則に書かれているので、確かめてください。
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病気で長く休むことになったときの給料は、別の条文で決まっています。
気がかりな人は先に読んでください。
→「病気で長く休んだら、公務員の給料はどうなる?「病気休暇」と「休職」の給与を条文で確かめる」
条件付の間は、身分の守りが薄い
ここが、いちばん気になるところのはずです。
条件付の間は、辞めさせられやすいのか。
国家公務員は、通常、法律か人事院規則に定める事由がなければ、意に反して降任・休職・免職されません(国家公務員法75条)。
ところが、条件付採用期間中の職員の分限については、この75条や、本人の意に反する降任・免職の規定、処分説明書の規定、行政不服審査法の規定が適用されません(国家公務員法81条1項)。
地方公務員も同じ形です。
条件付採用期間中の職員には、身分保障の規定、降任・免職・休職の規定、処分説明書の規定、行政不服審査法の規定が適用されません(地方公務員法29条の2第1項)。
| 国家公務員 | 地方公務員 | |
|---|---|---|
| 通常の身分保障の規定 | 適用しない | 適用しない |
| 意に反する降任・免職の規定 | 適用しない | 適用しない |
| 処分説明書の規定 | 適用しない | 適用しない |
| 行政不服審査法 | 適用しない | 適用しない |
| 細かい決まり | 人事院規則で定められる | 条例で定められる |
ここまで読んで、不安になった人もいるはずです。
ただ、条文が書いているのは「正式な職員と同じ守りの規定は適用しない」ということです。
「自由に辞めさせてよい」とは書いていません。
どんな場合に外されるのかは、国は人事院規則、地方は条例で決められます。
その中身は、この記事では確かめきれていません。
もう1つ大事なのは、懲戒の規定です。
国家公務員法の懲戒(82条)は、81条の除外対象に入っていません。
地方公務員法も、除外しているのは身分保障と降任・免職などの規定で、懲戒の事由を法律に限る規定(27条3項)は含まれていません。
つまり、条件付の間でも、職務上の義務を守る、信用を傷つけない、といった公務員としての決まりは、同じように求められます。
先生は半年ではなく1年
公立の小学校・中学校・高校などの先生は、条件付採用の期間が違います。
教諭、助教諭、講師などの採用は、地方公務員法22条の「6か月」を「1年」と読んで適用します(教育公務員特例法12条1項)。
つまり、先生の条件付採用は、最初から1年です。
もう1つあります。
都道府県内の公立の小学校等で、すでに正式任用になっている校長や教員が、引き続き同じ都道府県内の公立学校の校長や教員に任用された場合は、地方公務員法22条は適用されません(教育公務員特例法12条2項)。
同じ県内で学校が変わっても、またゼロから条件付になるわけではない、ということです。
市町村をまたいで異動する先生にも、安心材料になります。
| 期間 | |
|---|---|
| 一般の地方公務員 | 6か月(人事委員会等は1年を超えない範囲で延長できる) |
| 公立小学校等の教諭・助教諭・講師など | 1年(教育公務員特例法12条1項) |
| 同一都道府県内で正式任用の教員が引き続き任用されたとき | 条件付にならない(同条2項) |
転職組・出戻り組は、条件付にならないことがある
民間から転職してきた人は、原則どおり条件付で始まります。
ところが、公務員から公務員へ動いた人の場合は、少し事情が違います。
国家公務員の場合、人事院規則が、条件付にしない人を決めています。
かつて国の職員として正式に採用されていた人で、引き続き特別職や地方公務員、独立行政法人などの職に就き、いまもその職に正式に就いている人は、国の職員として戻るとき、条件付にしません(人事院規則八―一二第32条)。
「国から地方へ、また国へ」という動きは、ずっと正式なままでつながる、ということです。
一方で、「地方から国へ」のように、最初から国の職員だったわけではない人は、この規則の対象にはなりません。
対象かどうかは、人事院規則に「人事院が定める者」という続きもあるので、人事の担当に確かめてください。
地方公務員は、自治体をまたぐ転職の扱いが自治体の規則次第です。
ここは、転職先の人事の担当に採用前に聞いておくと確実です。
自衛官・会計年度任用職員は?
自衛官は、国家公務員法が適用されない特別職です(国家公務員法2条3項・5項)。
採用や分限は自衛隊法の決まりで、この記事の内容はそのまま当てはまりません。
部隊の人事の担当に確かめてください。
会計年度任用職員の条件付採用は、地方公務員法の別の条文(22条の2)に書かれていて、期間も違います。
この記事では対象外にしています。
気になる人は、会計年度任用職員の兼業の記事も合わせて読むと、この立場の人の全体像がつかめます。
次にやること
採用が決まったとき、あるいは半年がたったときに、順番に確かめられるよう並べておきます。
- 自分が国の職員か、地方の職員か、先生かを確かめる(期間が変わる)
- 辞令や採用通知で、採用日と、条件付採用の期間が書かれているかを見る
- 半年のあいだに長く休む予定があるなら、人事の担当に「条件付の期間は延びるか」を聞く
- 半年が近づいたら、正式になる手続き(辞令の有無、自動か)を聞く
- 不安があるときは、条件付採用期間中の分限の決まり(人事院規則・条例)を、人事の担当に聞く
- 半年のうちに辞めたくなったら、辞職の手続きの記事で、保険・年金の流れを確かめる
条件付採用の確認メモ
分かるところだけで十分です。空いた欄は、人事の担当に聞くことのリストになります。
自分の区分(国/地方/先生)と採用日
条件付採用の期間(6か月か、1年か、辞令にどう書かれているか)
半年のあいだに休む予定があるか(病気・育児など)
正式になる手続き(辞令が出るか、自動か)
人事の担当に聞きたいこと(延長の基準・分限の決まりなど)
国の職員として戻る場合、条件付にならない人にあたるか
いつ、誰に聞くか
このページを印刷すると、この1枚だけが出ます。ブラウザの印刷からPDFとして保存することもできます。
❓ よくある質問
Q. 公務員にも試用期間はありますか。
A. あります。
採用は条件付きで始まり、半年勤めて、良好な成績で職務を遂行したときに正式になります(国家公務員法59条1項、地方公務員法22条)。
先生は1年です(教育公務員特例法12条1項)。
Q. 国家公務員は、半年たったらどうなりますか。
A. 条件付任用の期間が終わる前に、任命権者が別段の措置をしない限り、期間が終わった日の翌日に正式になります。
Q. 途中で病気休暇を取ったら、条件付の期間は延びますか。
A. 国家公務員は、開始後6か月間に実際に勤務した日数が90日に満たないと、90日になるまで期間が延びます。
ただし開始後1年が上限です。
地方公務員は、規則で1年を超えない範囲で延長できます(地方公務員法22条)。
Q. 条件付の間は、簡単にクビになりますか。
A. 通常の身分保障や、意に反する降任・免職の規定は、条件付の間は適用されません(国家公務員法81条1項、地方公務員法29条の2第1項)。
ただし、どんな場合に外されるかの細かい基準は人事院規則や条例が決めるので、人事の担当に確かめてください。
Q. 条件付の間でも、懲戒処分は受けますか。
A. 懲戒の規定は、除外される規定に入っていません。
条件付の間でも、公務員としての義務は同じように求められます。
Q. 先生は半年ですか。
A. 公立の小学校等の教諭・助教諭・講師などは1年です。
すでに正式任用の教員が、同じ都道府県内で引き続き任用された場合は、条件付になりません(同条2項)。
Q. 国から地方、地方から国へ移ったら、また条件付になりますか。
A. 国の職員として戻る場合、かつて国の職員として正式に採用されていた人で、引き続き特別職や地方公務員などの職に正式に就いている人は条件付にしません(人事院規則八―一二第32条)。
ほかの人にあたるかどうかは、人事の担当に確かめてください。
Q. この記事は、いつの時点の情報ですか。
A. 2026年10月4日に、e-Gov 法令検索で法律と人事院規則の条文を確かめた内容です。
国家公務員法には2026年11月2日施行の改正があります。
この記事で引いた条文は、その前後で同じ文です。
まとめ
- 公務員の採用は条件付きで始まり、半年勤めて良好な成績だったときに正式になる(国家公務員法59条1項、地方公務員法22条)
- 国は、何もなければ期間が終わった翌日に自動で正式になる
- 半年のうちに実際に勤務した日数が90日に満たないと延びる(国は最長1年、地方は規則で1年以内)
- 条件付の間は、身分保障の規定が適用されない。ただし懲戒の規定は除かれていない
- 先生は1年、同一都道府県内で正式任用の教員が引き続き任用された場合は条件付にならない
- 細かい基準は、人事の担当に早めに聞くのが確実
✏️ 筆者から一言
私は、行動しながら修正していくほうだと考えています。
ただ、公務員になったばかりの人にとっての最初の行動は、勢いよく動くことではなく、自分の立場を確かめることだと思います。
半年が仮の期間だと分かれば、焦る必要はありません。
分からないままでいるほうが、よほど落ち着きません。
人事の担当に、一言だけ聞いてみてください。
それは立派な、最初の一歩です。
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📚 この記事で参照した一次情報
最終確認 2026年10月4日。
法令・制度の記述は、年に1度と制度改正のときに見直しています。

