公開 2026年10月6日
来月の土曜日、地域のイベントの運営で出てきてほしい。
上司にそう言われた。
断れる雰囲気ではないし、そもそも断れるのかも分からない。
その日はもともと休みのはず。
でも出るとしたら、休みはどこかで取れるのか。
手当は出るのか。
返事を保留したまま、気が重いまま過ごしている人は多いはずです。
もう1人は、祝日に出勤した人です。
あれからだいぶたつのに、代わりの休みの話が一度も出てきません。
「そういうものなのかな」と思いかけて、でも引っかかっている。
そんな人の疑問にも、条文で答えられます。
先に答えを言うと、土日に出勤を命じられたとき、国の職員は、前の4週間から後ろの8週間のあいだの平日と入れ替えて、休みを取り戻せる決まりです(勤務時間法8条、人事院規則一五―一四第6条)。
祝日に出たときは、代わりの休みの日を指定する決まりがあります。
どちらも「職場の好意」ではなく、条文に書かれた仕組みです。
順に確かめます。
※本サイトでいう「公務員」には、独立行政法人・国立大学法人・日本銀行・日本年金機構等の職員(いわゆる準公務員)も含みます。
副業・兼業規定が国家公務員法・地方公務員法に準拠、または類似している職種を主な対象としています。
⚠️ 先にお断りしておきます
この記事は、一般職の国家公務員の勤務時間法と人事院規則を読んだものです。
地方公務員は、各自治体の条例と規則で決まるので、そのままは当てはまりません。
公立学校の先生と自衛官は別の決まりがあり、今回は一次情報を取っていないので書きません。
実際の手続の様式や運用は職場ごとに違うので、最後は職場の人事・服務の担当に確かめてください。
この記事の結論
📌 結論を先に
- 土日は週休日。臨時・緊急の必要があれば、そこに勤務を命じられることがある(勤務時間法6条、13条2項)
- 命じるときは、週休日の振替(平日を休みに入れ替える)か、4時間の割振り変更ができる
- 入れ替えられるのは、出勤する日の4週間前から8週間後まで
- 振替をしなければ、土日の勤務は超過勤務手当の対象。割合は100分の135
- 祝日や年末年始に全日勤務を命じたら、代休日を指定できる。期間は8週間後まで
- 月60時間を超える超過勤務には、手当の一部に代えて超勤代休時間を指定できる
土日が休みなのは、「決まり」だから。でも命じられることはある
国の職員の土曜と日曜は、法律上「週休日」と呼ばれる日です(勤務時間法6条1項)。
週休日には、勤務時間が割り振られていません。
だから、何も命じられなければ、出勤する義務はありません。
ところが、公務のために臨時や緊急の必要があるときは、正規の勤務時間以外にも勤務を命じることができます(同法13条2項)。
週休日の勤務は、これに当たります。
命じるのは各省各庁の長で、実際には上司を通じて伝わります。
ここで大事なのは、命じられたときに、「出るか出ないか」で悩まなくていい、という点です。
選択肢は、その2つだけではありません。
勤務時間法は、週休日に勤務を命じるときの補い方を、あらかじめ2つ用意しています。
それが、次に説明する「振替」と「割振り変更」です。
| 補い方 | 何をするか | どんなとき向き |
|---|---|---|
| 週休日の振替 | 出勤する日を勤務日にして、代わりに別の平日1日を丸ごと週休日にする | 丸1日出る場合 |
| 4時間の割振り変更 | 別の平日の4時間分を勤務からはずし、その時間を出勤する日に回す | 半日だけ出る場合 |
| 何もしない | そのまま勤務を命じる(超過勤務手当で報いる) | 振替が難しい場合 |
週休日の振替——入れ替えられるのは「4週間前から8週間後」
振替は、勤務日を週休日に変えて、その日の勤務時間を、出勤を命じる日に割り振り直すことです(勤務時間法8条1項)。
つまり、土曜に出る代わりに、たとえば翌週の水曜が休みになります。
1日分の勤務が、日にちだけ入れ替わるわけです。
入れ替えられる範囲は、出勤を命じる日を起点にして、4週間前から8週間後までです(人事院規則一五―一四第6条1項)。
前にも後ろにも動かせるのがポイントで、土曜に出る分を、その前の週の平日で休んでおくこともできます。
たとえば、11月21日の土曜に出勤を命じられたとします。
休みを入れ替えられるのは、10月24日から、翌年の1月16日までの平日です。
年末年始をはさんで、休みを動かしやすい長さといえます。
半日だけ出るなら、4時間の割振り変更です。
平日の午前か午後の4時間を、勤務からはずして休みにします。
はずせるのは、始業から続く時間か、終業まで続く時間に限られます(同規則第6条3項)。
昼休みをはさんで真ん中だけ休む、という形にはできません。
ここで1つ、気になるところがあります。
「振替の日を選ぶのは、自分?」。
条文では、振替を行うのは各省各庁の長です。
とはいえ、現場では本人の事情を聞いて決めるのが普通です。
言い出しにくいかもしれませんが、都合のいい日は遠慮せず伝えてください。
振替には歯止めもあります。
振替のあとでも、週休日と勤務時間を割り振らない日の合計が、毎4週につき4日以上あること。
勤務日が引き続き24日を超えないこと(同規則第6条2項)。
出勤させて休みを後回しにしたあげく、休みが全然ない状態になるのを防ぐ仕組みです。
🔗 あわせて読みたい
休日出勤が多くて、手当が足りているのか心配なら、超過勤務手当の計算と上限を先に見ておくと、明細と比べやすくなります。
→「残業代、ちゃんと全部出ている?公務員の「超過勤務手当」の計算と上限を条文で確かめる」
振替したら、残業代は出る? 出ない?
ここは、お金の話です。
いちばん気になるところですよね。
振替をすると、出勤した土曜に、正規の勤務時間が割り振られます。
給与法の超過勤務手当は、「正規の勤務時間を超えて」働いたときに出る手当です(給与法16条1項)。
振替で土曜が通常の勤務日になるのなら、その日は「超えて」いません。
条文の組み立てからは、振替をした日には、超過勤務手当は出ないと読めます。
そのかわり、休みの日を取り戻しているので、収入は減りません。
給料は、もともと勤務日に支払われるからです。
土曜に働いて、平日に休む。
勤務した時間と休んだ時間が同じなので、損も得もない形です。
振替をしないで、そのまま土曜に出た場合は、話が変わります。
週休日などの勤務は、超過勤務手当の対象です。
割合は、平日の超過勤務が100分の125、それ以外(週休日など)が100分の135です(給与法16条1項、人事院規則九―九七第2条)。
深夜の10時から朝の5時にかけては、さらに25%が加わります。
| 勤務の仕方 | どうなる | ポイント |
|---|---|---|
| 土曜に出て、平日に休みを振り替える | 超過勤務手当は出ない(休みが戻る) | 休みを取りたい人向き |
| 土曜に出て、振替はしない | 超過勤務手当が出る(100分の135) | 手当で受け取る形 |
| 平日に残業する | 超過勤務手当が出る(100分の125) | 週休日と割合が違う |
つまり、土曜出勤は「休みで返すか、お金で返すか」の分かれ道です。
どちらがいいかは、人によって違います。
家の都合で平日に休みたい人もいれば、手当をもらうほうが助かる人もいます。
その希望を、命じられた時点で伝えておくのが、いちばん確実です。
祝日に出たら、「代休日」がもらえる
2人目の読者の疑問です。
祝日や年末年始に出勤したら、どうなるのか。
国民の祝日と、12月29日から1月3日までは、国の職員にとって勤務を要しない日です。
命じられた場合を除いて、出勤する義務はありません(勤務時間法14条)。
この日に、全日の勤務を命じたときは、代わりの休みの日を指定できます。
それが「代休日」です(同法15条1項)。
ただし、指定するのは、休日の前でなければなりません。
あとから「そういえば代休を」と言い出すのは、制度の形ではないということです。
代休日の指定は、勤務を命じた休日から8週間後までの期間内にあり、休日と同じ時間数の勤務時間が割り振られた日でなければなりません(人事院規則一五―一四第17条1項)。
半日勤務の日は、半日勤務の日を指定する、という意味です。
給与の面でも、代休日は守られています。
代休日を指定されて、休日の全勤務時間を勤務した職員は、その代休日に勤務しなくても、給与を減らされません(給与法15条)。
ふつう、勤務しない時間は給与が減るのが原則です。
代休日は、その例外に入っています。
代休日を指定すると、勤務した祝日のほうの扱いも変わります。
給与法は、代休日を指定された職員の「休日等」を、祝日のかわりに代休日として読むように書いています(15条、17条)。
つまり、祝日に勤務した分に休日給が上乗せされる形ではなく、代休日のほうが休みの日として扱われる組み立てです。
実際の支給は職場の取り扱いに従うので、具体的な金額は給与担当に確かめてください。
| 週休日の振替 | 休日の代休日 | |
|---|---|---|
| 対象の日 | 土曜・日曜 | 祝日・12月29日〜1月3日 |
| 休みを入れ替える範囲 | 出勤日の4週間前〜8週間後 | 出勤日の後から8週間後まで |
| 指定のタイミング | 出勤を命じるとき | 休日の前 |
| 半日の扱い | 4時間の割振り変更ができる | 同じ時間数の日を指定 |
ここまで読んで、「結局、細かくて覚えられない」と思った人もいるでしょう。
面倒に感じても、安心してください。
覚えるのは、2つだけで十分です。
土日は「振替」、祝日は「代休日」。
休日に出ることになったら、まず「振替ですか、代休ですか」と聞く。
それだけで、話がかなり前に進みます。
代休を「いらない」と言えるのか
休みを取り戻すのは権利のようにも思えますが、実は逆の場面もあります。
連休明けに仕事が山積みで、休むのは気が引ける。
手当のほうがいい、という人もいます。
代休日については、規則に答えがあります。
職員があらかじめ代休日の指定を希望しない旨を申し出たときは、代休日を指定しないものとする、という決まりです(人事院規則一五―一四第17条2項)。
つまり、代休を受けるか受けないかは、本人の希望を言えます。
ただし、「あらかじめ」と書いてあります。
休日に出てから「やっぱり要らない」と言い出すのでは遅い、ということです。
休日出勤の連絡を受けた時点で、希望を伝えるのが筋です。
月60時間を超えたときの「超勤代休時間」
もう1つ、似た名前の仕組みがあります。
超過勤務が月に60時間を超えた人向けの「超勤代休時間」です(勤務時間法13条の2)。
月60時間を超えた分の超過勤務手当は、割合が100分の150に上がります(給与法16条3項)。
その手当の一部のかわりに、休みの時間を指定できる、というのが超勤代休時間です。
お金で払う代わりに、休む時間で返す、ということになります。
指定できる期間は、超過した月の末日の翌日から、2か月後までです(人事院規則一五―一四第16条の3第1項)。
指定は、4時間か7時間45分を単位に行います(同条3項)。
休む時間の長さは、60時間を超えた時間に、割合をかけて決まります。
平日の勤務なら25%、週休日などの勤務なら15%です(同条2項)。
| 60時間を超えた勤務 | 指定される時間の割合 |
|---|---|
| 平日の勤務(給与法16条1項1号) | 超えた時間の25% |
| 週休日などの勤務(同項2号) | 超えた時間の15% |
たとえば、平日の勤務で60時間を超えた時間が20時間なら、25%で5時間分です。
4時間か7時間45分の単位で指定するので、実際は4時間のまとまりになることが多いです。
これも、希望しない旨をあらかじめ申し出れば、指定されません(同条5項)。
反対に、職場は、60時間を超えた職員の健康と福祉に配慮して、指定するよう努めることになっています(同条6項)。
月60時間を超える働き方になっている人は、休みで返してもらえる、と思っていいはずです。
地方公務員・先生・自衛官は、同じなの?
地方公務員の勤務時間や休日は、各自治体の条例と規則で決まります。
国の仕組みに合わせて、振替や代休日を置いている自治体が多いはずですが、期間の長さや、手続の様式は、自治体ごとに違います。
この記事の数字は、国のものだと考えてください。
公立学校の先生には、時間外の勤務について別の法律があります。
自衛官も、防衛省の職員についての別の法令で決まります。
どちらも、この記事の内容がそのまま当てはまるとは限りません。
自分の職場の決まりは、人事課の資料やイントラの例規集にあるはずです。
「勤務時間」「週休日の振替」「代休日」で探すと、見つかることが多いです。
次にやること
休日出勤の話が出たとき、あわてないように、順番に並べておきます。
- 自分が国の職員か、地方の職員か、先生か、自衛官かを確かめる
- 休日出勤を命じられたら、日付と、全日か半日かを聞く
- 土日なら「振替」、祝日・年末年始なら「代休日」を、職場がどう扱うかを聞く
- 休みで取り戻したいか、手当で受け取りたいか、自分の希望を先に決めて伝える
- 振替の日は出勤日の4週間前から8週間後まで、代休日は8週間後までと覚えて、日付を手帳に書く
- 月60時間を超えそうなら、超勤代休時間のことを人事・服務の担当に聞く
休日出勤の確認メモ
分かるところだけで十分です。空いた欄は、担当に聞くことのリストになります。
自分の区分(国/地方/先生/自衛官)
休日出勤を命じられた日と、全日か半日か
土日か、祝日・年末年始か
振替か代休日か、職場の扱い
休みで取り戻したいか、手当で受け取りたいかの希望
休みを入れたい日(出勤日の前後8週間以内の平日)
担当に聞きたいこと
このページを印刷すると、この1枚だけが出ます。ブラウザの印刷からPDFとして保存することもできます。
❓ よくある質問
Q. 土曜に出勤を命じられました。
断れますか。
A. 国の職員は、公務のために臨時や緊急の必要があるときは、正規の勤務時間以外にも勤務を命じられる決まりです(勤務時間法13条2項)。
断れるかどうかは、命令の中身と事情次第です。
断る前に、振替や手当の扱いを確かめてください。
Q. 週休日の振替で、休みはいつまでに取ればいいですか。
A. 出勤を命じる日を起点に、4週間前から8週間後までの平日です(人事院規則一五―一四第6条1項)。
前の週に休んでおくことも、後ろの週に休むこともできます。
Q. 半日だけ出勤するときは、どうなりますか。
A. 別の平日の4時間分を勤務からはずす「4時間の割振り変更」ができます。
はずせるのは、始業から続く時間か、終業まで続く時間です(同規則第6条3項)。
Q. 振替をしたら、土曜の分の残業代は出ますか。
A. 振替をした日には正規の勤務時間が割り振られるので、超過勤務手当は出ない形になります。
かわりに、平日の休みで時間を取り戻します。
振替をしない場合は、100分の135の手当が出ます。
Q. 祝日に出たのに、代わりの休みがありません。
A. 祝日や年末年始に全日の勤務を命じたときは、休日の前に、8週間後までの日で代休日を指定できます(勤務時間法15条、人事院規則一五―一四第17条)。
指定のない場合は、人事・服務の担当に扱いを確かめてください。
Q. 代休日は断れますか。
A. あらかじめ、代休日の指定を希望しない旨を申し出れば、指定しないものとされます(人事院規則一五―一四第17条2項)。
「あらかじめ」なので、出勤してからでは遅くなります。
Q. 超勤代休時間とは何ですか。
A. 月60時間を超えた超過勤務の手当の一部に代えて、休む時間を指定する仕組みです(勤務時間法13条の2)。
指定は4時間か7時間45分の単位で、超過した月の末日の翌日から2か月後までの間に行います。
Q. この記事は、いつの時点の情報ですか。
A. 2026年10月6日に、e-Gov 法令検索で勤務時間法・給与法・人事院規則を確かめた内容です。
確かめた時点では、未施行の改正はありませんでした。
まとめ
- 国の土日は週休日。臨時・緊急の必要があれば、勤務を命じられることがある
- 命じるときは、振替(丸1日)か4時間の割振り変更(半日)で、休みを取り戻せる。範囲は4週間前から8週間後
- 振替をしなければ、土日の勤務は超過勤務手当(100分の135)。休みで返すか、お金で返すかの分かれ道
- 祝日・年末年始の全日勤務には、休日の前に代休日を指定できる。期間は8週間後まで
- 代休日も超勤代休時間も、あらかじめ希望しない旨を申し出れば指定されない
- 地方公務員・先生・自衛官は別の決まり。休日出勤の話が出たら、まず「振替ですか、代休ですか」と聞く
✏️ 筆者から一言
私は、迷ったらまず動いて、ずれたら直していくほうです。
ただ、休みの話だけは、動く前に一度確かめたほうがいいと思っています。
休日出勤を命じられたときに、振替や代休日という手があると知っているだけで、返事の仕方が変わります。
「出ます」と答える前に、「振替にしてもらえますか」と試しに聞いてみる。
それも立派な行動です。
聞いてみて、違っていたら、そこから修正すればいいのです。
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📚 この記事で参照した一次情報
- e-Gov 法令検索|一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律
- e-Gov 法令検索|人事院規則一五―一四(職員の勤務時間、休日及び休暇)
- e-Gov 法令検索|一般職の職員の給与に関する法律
- e-Gov 法令検索|人事院規則九―九七(超過勤務手当)
最終確認 2026年10月6日。
法令・制度の記述は、年に1度と制度改正のときに見直しています。

